第95話

 スライムと妹が従魔契約を結んでから一週間が経過していた。

 俺は家族と食事をしながら横をチラッと見る。

 そこには妹と主従契約したスライムが居た。

 どうやら俺が作ったスライムは特殊らしく、形状を自由に変化させたり、分裂も出来るらしい。

 現在は、手の平サイズになっているスライムに、妹が蒸かした芋を与えている。


「アリアは、今日はどうするの?」

 母親が妹に話しかける。


「えっと、今日は村の皆の家のおトイレに分裂したスラちゃんを置いてくるの。何でも食べられるって言っているからおにいちゃんが前に言ってた衛生面を考えて皆に言ったらぜひにってお願いされたの」

 ふむ……。

 作る際に考えたのは、浄化設備で使われているプランクトンのごとく、何でも食べられて消化できて増える事を想像して、スライムの種に魔力を注いだからな。

 多少、変な風になっているのかも知れないな。


「そうね、最近はスラちゃんの子供たちのおかげで雑草も全部食べてくれるから助かるわよね」


「ああ、ヤンクルさんも狩りを教えたらしいが飲み込みが良いらしい。ほめていたぞ」

 親父がスライムを褒めていた。


「……」

 ふむ……。

 俺は朝ごはんを食べると家を村の南の門に向かった。

 門の前ではウカル様がウロウロしている。


「すいません、遅くなりました」


「待っていたよ、ユウマ君。それで例の話だけど、本当にするのかい?」

 俺はウカル司祭様の言葉に頷く。

 するとウカル司祭様が溜息をついた。


「分かったよ、あとはこっちでなんとかしよう。それと、それで教会は内装も出来たのかい?」

 俺はウカル司祭様を見上げながら――。


「はい、ばっちりです。遠くから見てもアース教会というのが一目で分かる作りになっています」

 ――と答える。そんな俺の発言にウカル司祭様は、笑いながら語りかけてくる。


「ユウマ君は大げさだな。普通の町にあるような教会なのに、遠くから見られるわけないじゃないか」

 ウカル様は、教会が出来ているということに安堵したのか笑顔だ。

 その時、俺の《探索》の魔法範囲内にグレーの光点が20個表示された。

 どうやら、これが大司教一向の可能性が高いな。

 俺の探索魔法エリアに大司教の一団が入った後、10分ほどでその姿を目視できる位置まで来た。


 大司教の一団の下へ俺とウカル様が近づく。

 すると彼らは前進を止める。豪奢な馬車から一人の老人が姿を現した。

 中背中肉で身長は俺より少し高いくらい。

 年齢は60歳後半だろうか?白い法衣を着こなしている。

 そしてアース教会のエンブレムを象った十字架を首から下げていた。


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