第92話

「俺は覗きをするために風呂を作った訳じゃないんだぞ?ただ、爆発の音が聞こえたからきたんだ」

 俺の言葉にリリナが白い濁りがあるお風呂に体を沈めると上目づかいに怒りを含ませた言葉で話してくる。


「それで、何なの?はっきり言ってよね?」

 不信感を露わにしてリリナが話してくる。


「だから、爆発音がしたから来ただけなんだ。少し考えろよ。リリナの裸ごときで風呂場を作る訳がなぐふぉおおおお」

 腹を、ボディを思いっきり殴られた。

 何故殴られたか分からない。

 俺はきちんと、お前の裸じゃなくて爆発に用事があったと。変な下心はなかったぞと説明したのに殴られた。

 しかも3発……。


 俺は、その場に倒れた。

 幸い裸の女性達には怪我はないようであったが、女性達全員の目がゴミでも見るような視線を俺に向けてきている。

 そこで気がつく。

 俺が作った配水管は余程の事で無い限り壊れない設計になっている。

 つまり……。


「ウラヌス十字軍の内部からの破壊工作か!」

 俺はギリッを歯軋りする。

 どうりで簡単に撤退したはずだ。

 まさか内部からの破壊を目的とするテロ戦術にシフトしてくるとは……。

 どこまでも見下げた奴等だ。

 俺の高感度上昇工作が、ウラヌス十字軍のテロ行為で全て無駄になってしまった。

 おのれ……。

 だがな……貴様らウラヌス十字軍が破壊工作をしようと行動しようが、俺にはお前達ウラヌス十字軍の場所は分かる。

《探索》の魔法を発動する――。


「……どういうことだ?」

 ――俺は頭を傾げる。

 頭の中に浮かんだ黄色い光点は俺自身であり青い光点は村の皆の光点、そして未確認はグレーの光点で赤色は敵対の光点だ。

 其れなのに黄色い光点が凄まじい速さで増殖していく。

 まったく持って意味が分からない。


「なるほど、これは俺を撹乱させようとしているのか。だがな、お前らはひとつ大きなミスを犯した!」

 俺は、立ち上がると走る。

 そして、増殖し続ける黄色い光点を追う。

 そして……たどり着いた先は、俺が一生懸命建築していた教会であった。

 そして教会を覆うように半透明で巨大な物体がぷるぷると震えながら教会を溶かしている。


「なるほど……」

 ようやく理解できた。

 おそらくウラヌス十字軍は、アース神教を邪教と呼んでいた。

 だから、彼らはアース神教のシンボルである教会破壊をしようとしたのだろう。

 どこまでも姑息な奴らだ!


 俺は事象を頭の中に思い浮かべる。

 それは大火の時に発生する火炎旋風と呼ばれる竜巻。

 イメージがまとまり魔法を発動させる条件は満たされた。


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