第83話
「どうしても魔法が使いたい俺は、ウカル司祭様の後をついていき色々と観察をしました」
「なるほど、7,8年前に誰かにつけられてるとウカル司祭様が村長に相談していたがお前だったんだな」
「……」
なぜか魔法の話をしているのに、俺の余罪がどんどん積み重なっていっているのは気のせいだろうか?
母親とか『どうしてこんな子に育ってしまったのかしら』とか泣いているし。
「それで気がついたんです。ウカル様の組む魔法陣にこそ秘密があるのではないのかと」
そう、たしかに俺は小さい頃には少しは問題児だったかも知れない。
だからこそ俺はそこには目を背けない!
「そうか、さっさと先を話せ」
親父がすげー怒っている。
正直に話しているだけなのに……。
「魔法陣には古代語とかが使われていますよね?そこに秘密があると思って調べていたら漢字こそが魔法の根幹を担っていると気がついたんです」
俺の言葉に親父もお袋も頭を傾げている。
「漢字とはなんだ?まぁいい、つまりそれが魔法の発動になっていていたから魔法が使えるようになったという事だな?」
「親父!待ってくれ。漢字と事象を想像すること、この2つが必要な事なんだ」
「つまりそれが魔法の発動になっていていたから魔法が使えるようになったという事だな?」
「いや、だから……」
「つまりそれが魔法の発動になっていていたから魔法が使えるようになったという事だな?」
おかしい、話がループしている?
そしてようやく俺は気がついた。
先ほどまで聞こえていた虫の羽音や風の音がまったく聞こえない事に。
「無理だよ、ユウマ君。資格がある者以外が真理の技術を理解できる訳がないんだよ。資格がない者が理解しようとしたら……分かるよね?」
突然現れた不定期な姿の者は、形を変えながらそれだけ言うと虚空に姿を消したと同時に虫や風の音が聞こえてきた。
「ユウマの言い分は分かった。つまりウカル様の魔法の本を見た後に、魔法を使っている場面を見た。そしてそれをヒントに独自に魔法を作り出して覚えたという事だな?」
親父の言葉を聞きながらも、先ほどまで何か嫌な者に語りかけられていた気がするが――。
ただ、漢字魔法を親父たちには伝えたらいけない気がした。
だから親父が誤解してるならと……そのまま頷く。
親父も俺が頷いたので納得してくれたようだ。
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