第47話
ウラヌス十字軍が村の北側に陣地を布いてからすでに一週間が経過していた。
そして俺の魔力っぽい何かは回復しないどころか減る一方である。
男エルフが弓と矢を作り攻撃してくるたびに《武器破壊》の魔法で分子結合を解き破壊しているからその分ずつ力が無くなっていっているのだ。
しかも最近では『えくすかりばあああああああああ』とか勇者が叫んで木で作られた木剣を振り下ろしてくる。
その都度、壁が壊れる。
俺は壁を修復しながら勇者が持つ木剣も破壊する。
おかげで、俺の魔力がどんどん減っていく。
しかも特技ってのは武器さえ持ってれば発動する。
そして威力は激減するようだが発動条件は木で作られた武器でも良いらしい。
おかげで日中は掘りの外から傭兵やウラヌス十字軍第三騎士団の特技持ちの連中からの攻撃に晒されて土を高圧縮して作った土壁がボロボロになっている。
特技を使える人間が50人も居ないのが救いだとも言えるが、残りの従軍してきた連中は木を倒して薪にしたり木剣を作って在庫を確保したりと余念がない。
それにすらあぶれた連中はと言えば森の中に入って獲物を狩りだした。
正直言って、村の周辺の森は人口が400人程度の村だからこそ必要分の動物性たんぱく質を供給できていたわけで、5000人近い軍の供給を賄えるとは到底思えない。
このままだと森の生態系が破壊されてしまう。
後、問題なのがウラヌス十字軍に見つかる恐れがあるため、俺が昼間に狩りに出かける事が出来ないという点だ。
おかげで夜行性の動物しか狩ることができず、食料が不足になることは無いと思うがたんぱく質である生肉の供給が滞ってきている。
後は、ウラヌス十字軍が攻めてきていると村の皆に話せていない事か。
真実を話せば村の皆がパニックになる恐れもある事から本当の事はいまだに話せてない。
魔物が攻めてきたままでの設定でいまだに押し通している。
ただ、現状は村から出られない状態な事から、もしかしたら村の皆に窮屈な思いをさせているのかもと思う。
その事で、ウカル様へ相談に行く人が増えている。
その都度、ウカル様は『アース教会は皆様を守るために尽力を尽くしています。もうしばらくすればイルスーカ公爵様が来られます。みんなで頑張りましょう!』と力説しているらしい。
人は極限な状態になると神様頼りになる事もあり、昨日などウカル様が来て『ユウマ君!君の言ったとおりだよ!信者がたくさん増えたよ!今まで数人しか加入してくれなかったのに……ううっ……これで、出世ができるよ…」とか俺に言っていたけど、数日前に出世には興味が無いとか聞いた記憶があったんだが……きっと俺の気のせいなんだろうと思うことにして『あ、はい』とだけ答えておいた。
でもウカル様、気がついていますか?
それは一時的なものにしか過ぎないんですよ?
過大な期待に答えられない時の村人の怒りは全部ウカル様にいくんですよ?と思ったが言わずにおいた。
誰だって夢は見たいのだ。
俺がそれを壊したらいけないな。
そこまで考えた所で、これからどうしたらいいか考える。
最初は、どう考えてもアホっぽい人達しかいなかったから、簡単にあしらえると思っていた。
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