第41話

「……」

 あーもう。めんどくさいな。

 でもいつも、この言葉が出るときは話に乗ってきてくれる時だ。


「そもそも私が聖職者になったのは、誰かを守るためであって誰かを守るためならこの身なんて惜しくない!」

 きっと敬虔なるアース信者が聞いたら、感激する所だと思うが、俺はウカル司祭様を構成している物質が打算と利益で99%占めている事を知っている。だから――。


「外にいるウラヌス教会と戦うことになってもですか?」

 俺の言葉にウカル様は頭を振る。


「そういう時には、私は真っ先にアルネ王国の首都アルネストのアース教会本部へ邪教が攻めてきたと報告しにいかないといけない。本当に心苦しいが、村人には力を貸してもらう必要がある。無駄に戦うことは報告が遅れることを意味するから私が戦う機会はおそらく来ないだろう……本当に残念だ」

 さすがウカル司祭様だ。

 言い方がまるで村長と同じだ。

 全力で保身に走るウカル司祭様のその言動、すごいな。

 ふつうは思っても言わないぞ?

まったく俺の村の大人はどうなっているんだ?

 マジ突っ込みどころ多すぎてどこから突っ込んでいいか困る。


「―――あ、はい」

 もういいやと思いながら曖昧な返事を返す。


「ところで、こんな私でも村人の助けになれると言うなら君の先ほどの意見を聞こうじゃないか!」

 ウカル司祭様は先ほどまでの真っ青な表情をどこにやったのか分からないくらい、朗らかな表情で俺に問いかけてきた。

 こんな人に井戸を教えていいのか俺は一瞬迷ってしまったが、遅かれ早かれバレる事だし教えることにする。まずは水の確保が大事だからな……。

ウカル司祭様と、村長の家についた俺は井戸を思い浮かべて《井戸採掘》の魔法を発動させる。

魔法発動と同時に地鳴りが鳴り、地面が陥没していく。


「ユ、ユ、ユウマ君!?地面が消え?一体何が?」


「大丈夫です。ただの魔法ですから」


「こんな魔法知らないよ!一体なにをして……触媒も使ってないのに……魔法陣も詠唱も唱えてなかったよね!?」


「大丈夫です。日常茶飯事の事ですから」


「ユウマ君基準で物事を言わないでほしいんだけど?」

 ウカル司祭様が村長宅の外側、木の柱にしがみついて俺に抗議してくる。

 その間にも、村長の家の隣には、直径2メートルほどの円形の石垣で組まれた縦長の井戸が生成された。

 さらに、井戸に落ちる人がいないように砂鉄を利用した鉄蓋を作った。

 俺は、さらに砂鉄から生成した手押しポンプを鉄ぶた上に設置する。

 そうしてようやく井戸が出来上がると俺は一息ついた。

 そんな俺を神妙そうにウカル司祭様は見た後


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