第36話

 そして土壁が破壊された部分を《土壁補修》の魔法で修復する。

 それに伴い、少しだけ軽い立ちくらみを覚えるが、すぐに《武器破壊》の魔法を使い男エルフの弓矢を破壊する。


「くっ!?壊されただと?」

 男エルフは怒りを滲ませた言葉を吐きながらも丸太を削り、蔓を加工して瞬く間に弓を作ってしまう。

 そして矢も木材を削りだして作る。

 その間、わずか10分。

俺はため息をつきながら《武器破壊》の魔法で弓と矢を破壊する。


「くそ!またか!?」

 当たり前だ、誰が使わせるものか。ほい《武器破壊》の魔法を発動。相手の弓を再度、破壊する。


「くそがあああああああああ」

 懲りない男だ。そろそろあきらめてくれるとうれしいんだけど……。

 まったくあきらめる気配がない。《武器破壊》魔法で再度武器を破壊する。


「ふざけんなよ!一生懸命作っているのに何壊してくれているんだよ!?」

 何か文句言っているが無視しながら《武器破壊》の魔法発動。


「俺は負けない!俺を信じてくれている勇者と仲間のために!」

 そうですか。がんばれ《武器破壊》魔法発動。


「いいかげんにしろおおおおおおおおお!どうして何度も何度も壊してくれているんだ!」

 ぶち切れた男エルフが俺に向かって怒鳴ってくる。

 怒鳴られても困る。

 この男エルフの攻撃力は半端ないから俺の魔力が尽きる可能性があるのだ。

 だから攻撃される前に武器を破壊しているだけ。

 別に男エルフだからって意味じゃないよ?

 どうして女エルフより先に男エルフが出てくるんだ!とも思ってないよ?

 うん。本当だよ?

それにしても、ウラヌス十字軍と戦っていて分かった事が一つある。

 それは、武器系特技は、武器に依存していて武器を持ってないと特技が発動しないという事だ。

 勇者も男エルフも武器を持っている時にしか、威力の高い技を技使ってこないから、きっとその予想は当たっていると思う。


「いや、だってお前たちは侵略者であって俺たちを殺しにきたんだろ?だったら邪魔するのとか当たり前だろ?」

 俺の言葉を聞いたウラヌス十字軍第三騎士団の面子が俺を睨んでくる。

 そして……。


「ふざけるな!お前には正々堂々と戦おうという気概がないのか!」


「これだから根暗なアース神教って言われているんだよ!」


「俺たちの武器を破壊しやがって!支給品なんだぞおおお」


「傭兵から武器と防具を奪って路頭に迷わせるつもりなのかー!」


「早く帰って畑耕したいから降伏してくれよお」

 と罵詈雑言が飛んでくる。

 俺はそれを聞きながら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る