第32話
「ユウマ君はどうするんだい?」
――心配そうな顔をして俺をみてくる。
「俺は、防壁を作ってウラヌス十字軍から村から守るために闘います」
「そうか。魔法が使えると言っても無理しないようにね」
ヤンクルさんは、気遣いの言葉を俺にかけると走っていく。
俺は村長の家に向かっていくヤンクルさんの後ろ姿を見ながら、頭の中で使用する魔法を組み込む。
まずは、最初に決めたとおり防衛に徹する形にする。
そのために必要な防衛陣地は頭の中で完成している。
あとはそれを形にするだけ。
両手を地面につけて、思い浮かべる。
村の周囲を取り囲む壁を、そして壁の外には水が湛えられた堀を思い浮かべる。
それは皇居の堀。
あとは力ある思いを形にするだけ。
そこで俺は動きを止める。
ここまで大規模な魔法は行使したことがない。
出来るかどうかは分からない。
だけど、防衛陣地を作らないと村の皆が逃げる余裕もなく蹂躙される。
それにこれだけ村を取り囲むだけの壁や堀を作り出せば、ウラヌス教国の目を妹から俺に向ける事だって出来るかもしれない。
だから思いを形にする。
そして思いを作り出すための魔法を編みあげる。
完成させた魔法を起動。
《陣地生成》の魔法を発動させた。
魔法発動と同時に、人工的な地震が発生する。それに伴い、村の周辺の土壌が一気に陥没していき掘りが形成されていく。
そして大気の原子配列が組み替わり水素分子となり結合し水となって堀の中に降り注ぐ。
一つ目の堀が出来上がると二つ目の堀も作られていき完成する。
さらに城壁が競りあがっていき強固な壁が作られていく。
それに伴い体中から力が抜けていくのを感じる。
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思ったよりかなりの魔力を消費してしまった。
ただ、村を取り囲む堀や壁を作る上で、人口的な地震が発生するとは予想できなかった。
それでも城壁と堀は完成される事が出来た。
頭が割れるほど痛いが……魔力枯渇には至っていない。
なんとなくだが感覚的に魔法がまだ使える気がする。
俺は《肉体強化》の魔法を使い身体能力を高めると跳躍で堀を超えて城壁の上に立つ。
すると丁度、ウラヌス十字軍第三騎士団が森から抜けてきた
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