第28話
俺は頷きつつも考える。
現実的にウラヌス十字軍は攻めてきている。
そうなるとウラヌス十字軍は何かを隠しているということになる
俺とヤンクルさんが、ウラヌス十字軍の目的の話をしていると、親父が横から話しかけてきた。
その声色には苛立ちが含まれていた。
「ヤンクルさん!アンタ、まさか……ユ、ユウマが魔法を使える事を知っていたのか?」
親父は眉元を顰めながら俺を見た後に、ヤンクルさんを睨んでいる。
俺は溜息をつきながら、親父とヤンクルさんの間に入ろうとすると。
「知っていた。弟子入りの許可をしたあの日。私はユウマ君の魔法を見た。巨大熊であるタルスノートに襲われ怪我をした。その足を……病に冒された足を切断しないといけない所を、ユウマ君の魔法で治療してもらった」
親父は俺に視線を向けてくる。
「それは本当なのか?ユウマ!」
親父の言葉に俺は頷く。
「どうして黙っていた?俺はそんなに頼りない父親なのか?」
頼りない父親か……。
俺は頭を振る。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
俺は、自分でも分からない大量な知識があるから……。
親父と母親を本当の肉親とは思っていなかったかも知れない。
だからこそ、俺は誰にも魔法が使えるという事を妹以外には教えてない。
「だから……」
俺は、口を閉じた。
人を信じて教えるのは簡単かも知れない。
でも俺には、それはできなかった。
そう。だれにも……。
「分かった。話せる時になったら話せばいい」
親父の言葉に俺は頷く。
俺と親父のやりとりを黙って見ていたヤンクルさんは――。
「それで、これからどうするんだい?」
――と話しかけてくる。
俺は頷きながら――。
「これは、あくまで俺の予想ですけど、ウラヌス十字軍は数千人います。ここに捕縛したのは40人ですので……「つまり全体から見ても軍隊の被害が少ない、つまり襲ってくる可能性が非常に高いということだね?」……」
話の途中から割り込んできたヤンクルさんが結論を述べた。
「そういうことです。ですから……。まずは、イルスーカ侯爵軍が到着するまでに時間稼ぎを行いたいと考えています。それと村の皆には内密にしておいてください。数千のウラヌス十字軍が攻めてきていると知られたらパニックになってしまいますから」
ヤンクルさんは俺の話を聞きながら頷いてくれる。
「わかったよ。そしたら私は、避難している村民にうまく話をとおしておこう。バルザックさんも手伝ってくれないかな?」
ヤンクルさんの言葉に親父が頷いている。
「それではお願いします。親父も居た方が説得力ありますから……一応魔物が攻めてきたということでお願いします」
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