第27話
「親父、ヤンクルさん。どうしてここに? 避難しておくようにリリナから言われませんでしたか?」
俺の言葉に答えたのは親父だった。
「ユウマがいつも問題を起こすからだろう? 村の連中は、お前がまた魔物でも連れてきたのかと驚いていたぞ。そこで俺とヤンクルさんが村の代表として見にきた」
なるほど……。俺は親父の言葉を聞いて頷く。
それと同時に、親父の不審な目を見て、もう隠し事が出来ないことを自覚した。
武装してないとはいえ40人の兵士を無傷で捕まえているのだ。
疑問に思わないほうがおかしい。
だから俺は極力分かりやすく説明することにする。
「これは、ウラヌス十字軍の兵士たちです」
俺の言葉に親父もヤンクルさんもすぐには理解してくれない。
成人前の男がこれだけの人数を一人で倒せるとは思えないのだろう。
そもそも、武器も鎧もつけてない人間を他国から侵攻してきた兵士だと思う方がおかしい。
俺はアライ村長から預かった村長譲渡書を親父に渡す。
「アライ村長は、現在ウラヌス十字が攻めてきた事を、イルスーカ侯爵様へ知らせに村から出ています。念のために妻のユカさんや息子さんも連れて行っています。そして、そこに倒れている彼らは俺の魔法で拘束しています」
俺の言葉を聞きながら親父の顔色が悪くなっていく。
そしてヤンクルさんは親父を横から神妙な顔つきで見ていた。
俺は、ヤンクルさんの顔を見て確信する。
「ヤンクルさんは、リリナから大まかな話を聞いていますか?」
俺の言葉にヤンクルさんは頷く。
どうやらヤンクルさんは、ある程度の事情を知っているようだ。
俺とヤンクルさんが話をしていると。
「ユウマ!お前の話が本当だとして……どうやって、これだけの人数を捕縛でき……そうか!さっき言っていた魔法の事か?」
親父が話しかけて来た。
俺は、その言葉に頷く。
だが親父は半信半疑のようだ。
何故なら、ずっと魔法が使える事を両親や村の人間には教えてこなかった。
ウカル様が使う魔法と、俺が使う魔法では根本的に魔法内容が違う。
余計な事に巻き込まれないように魔法が使えるという事は秘密にしていた。
だが、ヤンクルさんはすでに俺が魔法を使えることを知っている。
「それで、ユウマ君。ウラヌス十字軍は、どうして攻めてきたんだ?」
俺はヤンクルさんの言葉に「分かりません。ですがアース神教を邪教だから解放するなどと言っていました」と、答えたがヤンクルさんはしばらく考えたあと口を開くと。「私の知っている限りでは、たしかにアース神教とウラヌス教との仲は悪いが、わざわざ十字軍をだしてまで、この村を攻めてくる理由としては弱いと思う」と話してきた。
「なるほど……」
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