第26話
いつも利用している《身体強化》魔法よりも消費魔力を10倍まで引き上げる。
おかげでウラヌス十字軍が出てくる森の前に到着する事が出来た。
俺が森の前に到着し数秒後に男たちは森から出てくる。
「お前達、何しにきたんだ?」
俺の言葉に男達は何も言わずに近づいてくる。
答えるつもりがないなら仕方ないな。
「悪いが、寝ていてもらうぞ!」
俺はそのまま男たちに近づくと鳩尾を殴り、足の骨を砕き無力化していく。
死人を出したら国同士で、国際情勢上どうなっているか分からない。
だから全力で力を出せない。
次々に山から出てくるウラヌス十字軍の人間を叩きのめしていくが、やはり多勢に無勢ということもあり数人抜けられてしまう。
「くそ!死ぬなよ!」
俺は地面に手をつけて村に向かう男達の足元を《地面爆発》の魔法で、地雷のように男達の足元を爆発させる。
発動した魔法により男達は空中に舞い上がり地面に叩きつけられた。
それを見ていたウラヌス十字軍の兵士達は森の中へ逃げ帰っていった。
《探索》魔法で確認すると、逃げていった兵士は森の中で他の兵士と合流した後、森の奥へ消えていくのが確認できた。
俺は自分が倒した兵士達を見てため息をついた。
数千人の内の数十人の損失。
たしか戦闘継続が厳しくなるのは3分の1が、戦闘継続不可能になった場合に撤退だったか?
となると大した被害も被ってないウラヌス十字軍の連中は、まだ襲ってくる可能性があるな。
俺は《探索》”の魔法を発動させながら目の前に広がる森を見て一人呟く。
1時間前に、アライ村を襲ってきたウラヌス十字軍の連中は現在、《拘束》の魔法で動きを封じている。
怪我が酷い者は、《回復》の魔法で怪我を治した。
捕らえた兵士だけで40人程。
これだけウラヌス十字軍の兵士が確保できればイルスーカ侯爵軍が来ても攻めてきたという実証ができる。
あとはどれだけ、イルスーカ侯爵軍が来るまで時間を稼げるかだが……と考えたところで、俺は考え違いしていた事を思い出す。
アライ村長は村から出て行ったが、彼が村の窮地を必ずしも侯爵様へ報告にいくとは限らないのだ。
そうすると、打てる手立ては打っておいた方がいい。
俺はすぐに立ちあがり、考える。
まず、どうしてこんな何もない辺鄙な村をウラヌス十字軍は狙ってきた?
数千もの軍を動かす程の価値がある物がここには存在している?
だが、それが何かの判断がつかない。
「どういうことだ?」
仮定を積み上げる事は出来るが、そこから結論を導きだすことができない。
一度、兵士から事情を聞く必要があるな……。
兵士から事情を聞いて、情報を精査した上で考える必要がある。
そんな風にを考えていると、《探索》の魔法に反応がある。
光点の色は緑。
アライ村の住民の色だな。
後ろを振り、緑色の光点が誰かを確認する。
すると俺の父親であるバルガスとリリナの父親のヤンクルさんの姿がそこには在った。
「「これは、どういうことだ?」」
2人して俺の捕えている40人の男達を見て声をあげてきた。
俺は二人を見ながらため息をついた。
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