第25話
「これは仕方ないな」
村民に被害を出さず田畑に影響を与えず相手を無力化するか。
まずは捕縛かな?それが現状における最善の策だろう。
すぐに俺はアライ村長の家から、《身体強化》の魔法を使い教会へ走る。
10秒ほどで教会に到着すると扉を開く。
勢いよく音をたてて扉が開かれた事で子供たちは皆、扉のほうへ俺の方に視線を向けてきた。
そして講義をしていたリリナに近づく。
「どうしたの?」
リリナは戸惑いの表情で、話しかけてきた。
アライ村長の態度を見る限り、ウラヌス十字軍が攻めてきた事をそのまま伝えると、パニックになる可能性があるため。
「リリナ、皆には内緒にしてくれ。他国の軍が攻めてきようとしている。村長に伝えたら村から逃げ出した。ただ、村の皆は魔物には慣れている。対人は慣れてないと思うから、村の皆には、タルスノートつまり巨大熊が冬前に食料を確保するために集団で村に向かってきていると伝えて、村長の家にを囲っている塀の内側に入って立て篭もってくれ」
俺の言葉にリリナが目をパチクリとさせた。
「――え?他国が攻めてきた?何かの冗談なの?」
リリナは首を傾げてきた。
やはり言葉だけではすぐに納得してくれないよな。
懐から村長から渡された村長兼代官譲渡書を取りだす。
「これを見てくれ、村長から渡された。」
リリナは俺が差し出した書類を受け取り読んでいく。
「ユウマ君、これって……」
「ああ、村長は俺にこれを託して村から出た、一応、イルスーカ侯爵家へ報告と言っていたがどこまで本当かは分からない。だからなるべく早く避難してくれ」
「わ、わかったわ。で、でも……ユウマ君はどうするの?」
リリナの顔色が蒼白になっている。
きっと、どこかの国の軍隊が攻めてきた事に対しての感情をうまく整理できていないのだろう。
「俺は全員が村長の家に集まれるまでの時間稼ぎをする。だから任せたぞ」
俺はすぐに教会から出る。
すでに俺の《探索》魔法3キロメートル範囲には50人近い赤い光点つまり敵勢マーク反応が存在している。
村の北側から近づいてくる赤い光点を見ながら、安堵する。
幸い、村の北側には緑色の光点が存在してない事からすぐには村人とウラヌス十字軍が接する事はすくないと思う。
いないと言っても時間的余裕はそんなにない。すぐに行動に移した方がいいだろう。
《身体強化》魔法を発動させる。
身体強化魔法は肉体の細胞を活性化させることで、無理矢理力を引き出す魔法。
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