第20話
それにそう言った情報もアライ村には無かったから仕方ない。
つくづく俺は情報弱者だな。
テレビとか新聞、インターネットという情報メディアがない世界では仕方ないと言ってこう。
「――ウラヌス教なんて知らないんですけど?どこの国から来たどんな宗教ですか?」
まずは相手を知らなければ話にならない。
とりあえず情報がほしい。
相手の知らなければどうにもならない。
「――なんだと?知らない……だと…?」
唐突に、軍隊の中から一人の白髪の気難しい顔をした60歳前後の小太りの男が姿を現した。
男がきている赤い神官服には、剣の紋章が刺繍されている。
「ユーガス=ガルウ。この不遜な態度を取る者を殺せ!」
男は俺を指さして叫んできた。
「ですが、ベンアウード様。異教徒とはいえ見たことがない魔法を使うもの。もしや、あれの可能性もありますが……」
ユーガス=ガルウの言葉に、ベアウード様と呼ばれた男が、顔を真っ赤に染め上げる。
「うるさい!たかが騎士団長のくせに私に意見をするな!全員、攻撃をしろ!」
ベアウードの言葉に一斉に俺に向けて矢が放たれた。
その数は300本近い。
俺は、その全てを見ながら地面へ手を当てると分子構成を組み替える。
《土壁》練成魔法を発動させ全ての矢を土壁で防ぎきる。
それを見たベンアウードは、ますます怒りを露にして顔を真っ赤に染め上げていく。
「もういい!勇者様。よろしくたのみます」
ベンアウードの声に、隊列の中から現れたのは金髪の美形ハンサムの長身の男であった。
手には一抱えほどもある長剣を携えている。
「僕の名前は、ユークラトス、世界でもっとも美形な勇者さ。まぁ君も運がわるいな、僕に出会った事を後悔するといいよ」
「えー」
俺は思わず口に出していってしまった。
「な。何か言いたそうだね?」
「いえ、べつに……」
「何か言いたいならはっきり言ってくれたまえ!」
「とくに言いたいことは……」
「言いたい事があるんだろおおおおお」
なんだよ……。かまってほしいか?
「わかった、きちんと言うから……」
「ふん!やはり言いたいことがあるんじゃないか!?」
こいつ殴りてえ。
どうしてか分からないけど、こう自分好きな奴を見ると殴りたくなってくるのは性分なのだろうか?
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