第17話

 そして俺は2メートル近いイノシシを片手で抱き上げると家に戻った。


「母さん……イノシシだけど、血抜きしておいたから、ここに置いておくね」


 俺は台所に血抜きしたイノシシを置く。

 ヤンクルさんに教えてもらった血抜きの方法を、血流操作の魔法を使い簡単に血を抜けるように魔法が組めるまでかなり時間が掛ってしまったが、いまならワイバーンの血ですら本来は1時間はかかる血抜きを10秒ほどで抜けるくらい上達している。


 母親は、俺が台所に置いた血抜きが済んでいるイノシシをを見て。


「はいはい」


 と母親は俺の方を見てまたなの?という顔を見せた後、適当な返事をしてくる。

 俺はイノシシを外に置いたあとに水の入った瓶を台所の床のセメントの上に置いた。


「それじゃ狩りに行ってきます」

「気をつけていってくるのよ?」

「はい」


 俺は教会の前を通るルートで村の中を歩いていくと教会に入っていくリリナやアリアの姿が見えた。

 村での勉強会の講師は1年前からリリナが俺に代わって行っており、15歳以下の識字率は100%という、この世界ではとんでもないチート的な村になりつつある。

 それにアリアが引き寄せる魔物や動物を魔法の練習で間引きしてる事もあり、いままで多少なりとも作物の被害があったがそれも無くなっている。

 

 そして、動物性たんぱく質つまり肉が俺の乱獲のせいで毎日各家庭にかなりの量が配られている。

 そのため、アライ村の食料事情はとてもいい。

 おかげでうちの村に限っては、狩猟の職業は、裏では何か言われているかも知れないが表立って悪口を言われる事は無くなっていた。


「お兄ちゃん!」

 俺の姿を見つけた妹のアリアは、俺を見つけるとすぐに近寄ってキラキラした眼差しで俺を見上げて抱きついてきた。


 妹ももうすぐ11歳になると言う事もあり美幼女ぶりがすばらしい。

 俺はロリコンではないが、世のお兄ちゃん達が妹は、かわいくないと言っている理由が俺にはさっぱり理解できない。


「はいはい、そこまでよ?」


 幼馴染のリリナが抱きついていたアリアを俺から引き剥がした。

 俺から引き剥がされたアリアは、俺に背を向けると。

 

「どうして部外者のリリナさんが、お兄ちゃんと私の仲を邪魔するんですか?」


 アリアの言葉に、リリナが眉根を顰めて話し始めた。

 

「部外者だからこそって理解してくれないかな?アリアちゃんは、ユウマ君の妹なんだからその辺もわかっているでしょう?」


 リリナの言葉に今度は、アリアが俺から顔を背けた。


「リリナさんの言葉って難しくて良く分からないです!」


 アリアの言葉にリリナは


「そう?やっぱり雌には分からないのかな?」


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