第4話

 木製の家のドアを開けると母親が台所で料理をしている姿が目に飛び込んできた。

 家の間取りは俺の記憶にある知識で言えば4DK。

 玄関と台所は繋がっていて、台所の床は手製のセメントで塗り固めてある。

 俺が5歳の時に、台所の地面が剥き出しの土だと衛生的に問題があるため、セメントを作って床を覆ったのだ。

 家の中に入り口から入ると、料理中だったらしく薪がパチパチと燃える音が耳に響いてくる。


「……母さん、ここに水瓶置いておくね」


 俺は母親に言いつつ、水が入った瓶を台所のセメントの上に置いた。

 そして俺に続いて家に入ってきた妹は、母親のもとへ駆け寄ると母親の洋服を引っ張って嬉しそうに手に持っているものを見せた。


「お母さん! お兄ちゃんの今日の戦利品!!」


 妹が見せた一角ウサギを見て母親は『あら、アリアは偉いのね』とそれを預かった。

 血抜きの方法を俺は知らないので、獲物は狩ってくるが血抜き兼料理は母親の仕事になっている。


「今日もお肉が食べられるわね。お父さんが畑から戻ってきたら食事にしましょう」


 と母親であるフィーナは、妹の頭を撫でながら褒めている。

 倒したのは俺なんだが、と思いながらも俺は何も言わずにその様子を眺めていた。

小さいとは言えど魔物が人里に下りてくるのは珍しいことらしい。

 だが、5年前から魔物たちの動きが活発になり村に下りてくる事が多くなった。

 妹と一緒にいるとよく魔物と遭遇する事から、もしかしたら妹が魔物を引き寄せているのではないのかと俺は思っている。

 俺は、自分と妹の部屋に入る。

 これからアース教会で、村の子どもたちに勉強を教えるのだ。

 そのための準備をしないとっと考えていると……。


「いま、戻ったぞー」


 父親であるバルガスの声が聞こえてきた。

 妹と母親が父親を出迎えに行ったようで『おかえりなさい』と言う声が聞こえてくる。

『今日は、肉が入った雑炊か……そういえばユウマは何をしているんだ?』と続けて声が聞こえてきた。

「教会へいく用意をしているんじゃないかしら?」と母親は父親の質問に答えていた。 


 俺は朝食をとるために食事の用意がされている居間へと向かう。

 そこには父親がすでに座っていた。

 父親は俺を見るなり眉元を顰める。


「ユウマ、森に行ったそうだが、あまり無理はするなよ? 危険だと思ったらすぐ逃げるんだ。……それと、魔物や動物を退治して肉を得るのはヤンクルさんの仕事なんだ。あんまり人の仕事を奪うような真似はするなよ?」


 俺は父親の言葉に頷く。

 動物や魔物を狩って、その肉を村に提供するハンターは外部から移住してきた人間に課せられる忌み職の一つだ。

 よその村から移住してきたばかりというのは、村にはその人が耕す畑というのは存在しない。

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