アフターストーリー 由紀と和志の場合⑪ -頑張った-
2月某日。
今日は朝からメチャクチャ寒く正直布団から出たくない。
どうせ今日も学校は自主登校だし・・・と2度寝しようとしたところで"バタバタバタ"と階段を駆け上がってくる大きな音が聞こえた。
美里か?朝っぱらから何やってるんだ・・・と思っていると
[バタン]
と俺の部屋のドアが勢いよく開き由紀が部屋に入ってきた。
「和君!やったよ私!!」
「な 何だ?由紀?」
急に部屋に入ってきた由紀に俺が驚いていると由紀がベッドに寝ている俺に飛びついてきた。
「うげっ!苦しいって由紀。どうしたんだよ急に」
「だから合格したの!川野辺大学!」
・・・川野辺大学?大学?合格?
寝起きの頭が段々クリアになっていく。
ってそうか、今日は合格発表の日か!!
「マジか!!っていうか一緒に発表見ようって言ってたのに!」
「ご ごめんなさい。気になっちゃってつい・・・で でも もう8時だよ。
和君がいつまでも寝てるから!!」
もうそんな時間なのか・・・っていうか俺は大丈夫なのか?
由紀が頑張って合格したって言うのに俺が落ちてたらシャレにならないぞ。
俺は枕元に置いてあったスマホを手に取り慌てて川野辺大学の合否確認サイトにアクセスした。頼む合格しててくれ!
祈るような気持ちで開いたサイトに表示されていた文字は・・・
「やった由紀。俺も合格だ!2人で一緒に大学行けるぞ!」
「うん!また一緒の学校行けるんだよね」
「そうだ!ずっと一緒だ」
そう言いながら俺は由紀を抱きしめた。
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何だか一気に目が覚めた俺は由紀と一緒に部屋を出て1階に向かった。
階段を降りると玄関のところに妹の美里が居た。
ちょうど学校に行くところみたいだ。
「あ、お兄ちゃん。行ってくるね」
「あぁ。それより美里。合格したぞ川野辺大学」
「え!ほんと!おめでとう!流石お兄ちゃん!!
え!じゃもしかして由紀姉も?」
「うん♪私も合格したんだ♪」
「凄いよ!由紀姉。結構レベル高い大学だよね!」
「私もちょ~本気出したからね!」
そうだよな。由紀も頑張ったもんな。
あ、頑張ったと言えば・・・田辺たちは大丈夫だったのかな?
多分あの2人なら落ちてることはないだろうから聞いても大丈夫だよな。
と俺は田辺に自分と由紀が合格したことをメールした。
メールは直ぐに既読となり落ち返しのメッセージが来た。
[おめでとう!俺達も合格した。春からは一緒の学校だな]
そうか。あいつらと同じ学校に通うんだよな。
バスケもチームメイトか。
そう考えると何だか今から楽しみだな。
「どうしたの?和君。ニヤニヤして」
「ん?あぁ田辺に合格したってメッセージを送ったんだけど、あいつらも合格したって返信がきてさ」
「わぁほんと!夏川さんもさっき合格したってメール来たから春からはみんな一緒だね!」
「そうだな♪」
夏川さんも合格したのか。
笹原や横田、それに日岡さん達とは別の進路になるけど4月からはまた新しい仲間たちと新しい生活が始まるんだな。
「あ、由紀。この後何か予定あるか?合格祝いに久しぶりに何処か遊びに行かないか?」
「ほんと!行く行く!あ、受験ってことで我慢してたけど和君と一緒に行きたかった映画あるんだけど」
「そっか映画も久々だよな。うん。じゃあまずは映画だな」
「やった!じゃあ私着替えて来るから和君も支度してて!」
「おぅ!」
由紀を玄関で見送り部屋に戻った俺は、着替えをして出かける支度をした。
クリスマスは2人で過ごしたけど年が明けてからは勉強漬けだったし何だかデートも久しぶりな気がするな。
支度を終えた俺は由紀に玄関の前で待ってる旨のメールを送り外に出た。
こういうのって女性の方が時間はかかるからな。
スマホを弄りながら少し待っていると
「お待たせ!」
と由紀が出てきた。
今日もやっぱり由紀は可愛い。
白のセーターに暖かそうなダウンジャケット。
そう・・・ダウンジャケット。
「和君も着てきてくれたんだね♪」
「あぁ まあな・・・でもあらためて2人で着ると結構恥ずかしいな」
「うん・・・それは確かに」
クリスマスの時に贈りあったお揃いのダウンジャケット。
普段だったらお揃いとか買わないだろうけどクリスマスマジックだな。
でも・・・今日はこれ位良いよな。
「ま たまにはいいよな」
「うん♪あ、今から行けば11:00の上映に間に合うから早く行こうよ」
「あぁ行こう!」
俺は由紀の手を取りバス停へと向かった。
温かい手だ。
この先もこの手は放したくない。
ずっと一緒だ。
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