アフターストーリー 由紀と和志の場合⑦ -森田姉妹-
「お姉ちゃん!この海鮮丼美味しいよ!!!」
「うん。本当サービスエリアのご飯も侮れないわね」
「だな。もう1杯くらい食べれそうだ」
「翔太!部活引退して運動不足気味なんだから食べ過ぎると太るよ!」
何でこうなった・・・・・?
俺は今、由紀とその姉の綾女さん、俺達の同級生で綾女さんの彼氏でもある吉野翔太と東名高速静岡サービスエリアに居る。
バスケの県大会で敗戦した俺は田辺達が全国大会決勝に駒を進めたのを受け約束通り応援のため会場となっている名古屋を目指していた。
まぁ折角の遠出なので由紀との名古屋旅行を兼ねてなんだけど・・・何故か途中から最近車を購入した綾女さんが、吉野にも声を掛け一緒に行くこととなってしまった。行きだけだし、現地ついたら別行動だし、交通費浮いたし・・・嬉しいことは嬉しいんだけど。
「ほら和志君も拗ねてないで早く食べなさい」
「い いや別に拗ねてなんて」
「ふふ照れなくていいのよ。本当は由紀と2人きりで旅行したかったんでしょ?
安心していいわよ。2人を名古屋で降ろしたらお邪魔な私と翔太は消えますので。私達だって2人きりで旅行したいしね」
そう言いながら綾女さんが吉野に視線を送ると吉野も何だかニヤニヤしてる。
何となく吉野が尻に敷かれてる感はあるけど仲は良いんだよな。
「お お姉ちゃん!ふ 2人きりとか・・・ねぇ和君」
「え?由紀は俺と2人きりとか嫌だったか?」
「え!あ、いや、そ そんなことないけど・・・むしろ嬉しいです。はい」
「ふふ。我が妹ながら何だか可愛いわねぇ~ 初々しいというか」
「綾女も可愛いよ」
「やだ 翔太ったら♡」
綾女さんと翔太も・・・結構なバカップルだな。
俺達も少し人前では自重しないと・・・
--------------------
「思った以上に高速混んでたわね・・・」
「事故渋滞だし仕方ないよ」
「和志君。試合の時間まだ間に合いそう?」
「ギリギリですね。。。せめて最後だけでも見れれば」
そう。サービスエリアでの休憩を考慮しても結構時間には余裕を持って到着できるはずだったんだけど名古屋のIC近くで事故があったらしく渋滞に掴まってしまったんだよね。
何とか一般道には降りたけど、もう試合は開始している時間。
約束したし少しでも応援したいんだけど・・・
「よ~し。ギリギリで間に合うのね?
由紀!飛ばすからナビよろしくね」
「了解!あ、お姉ちゃん そこの交差点左折」
「オッケー」
「で、次2つ目の信号右折!」
「了解!」
「え~と・・・急いでくれるのは嬉しいけど、安全運転でお願いします・・・」
由紀のナビで法定速度ギリギリ(と思いたい)スピードで車を飛ばす綾女さん。
運よく一般道に渋滞はなくペース良く進んではいるけど・・・運転が荒い。
吉野は綾女さんの運転に慣れてるのか涼しい顔してサービスエリアで買った雑誌を読んでるけど何だか酔いそうだ・・・
いるよね、ハンドル持つと性格変わる人とか・・・
そして、一般道を走ること約30分。
目的地となる体育館が見えてきた。
「和君!あと少しで到着だよ!」
「おぉ!間に合ってくれ!」
--------------------
会場の駐車場に車を停めた俺達は、慌てて試合を行っている体育館へと向かった。もう試合が終了しててもおかしくない時間だ。
「ま 間に合った!!」
「あ、和君。川野辺高校負けてるよ!」
試合は終盤。第4クォーターで残り時間もあと少しな状態で5点差・・・・
相手は前回の優勝校だしやっぱりあいつらでも厳しいのか。
でも・・・
「田辺!!ちゃんと約束通り応援に来てやったんだから絶対決めろ!!」
「藤原・・・・応援に来たって・・・もう試合ほとんど終わりの時間じゃねぇかよ」
「い 色々と事情があったんだよこっちにも。とにかく勝てよ!!」
まぁ本当は最初から試合見るつもりだったんだけど・・・
ちらっと綾女さんの方を見ると手を合わせて"ゴメン"ってゼスチャーしてる。
送ってもらったし、ランチもご馳走になったし、綾女さんに文句は言えないよな。
そんな中、試合が動いた。
福島がカットしたボールを受けた田辺がクイックモーションでシュートを決めた。凄く早い対応と正確さで正直俺も驚いた。
そして、その後も恩田・清水との連携を受けて最後は田辺が決めた。
あいつも体力限界そうなのに・・・・
そして、おそらく最後のプレイ。
海応寺の横谷がリスタートしたボールを清水が奪いロングシュート。
そして、そのボールを追いかけるように高く飛んでボールをゴールに押し込む田辺。
だけど・・・無情にもゴール前に試合終了のブザーはなってしまった。
俺達との試合でも見せた清水と田辺のアリウープ。
綺麗に決まりはしたけど・・・
「負けちゃったね。田辺君達」
「あぁ でもやるだけやったんだしな。誇っていいと思うぜ俺は。
それに何だかあいつらもサッパリした顔してないか?」
「うん。負けたけど笑ってる」
「やるだけやったってとこなんだろうな。俺からしたら少し羨ましいよ」
俺達は県大会で夏が終わっちまったからな・・・
全国に来て全力を出せただけでも羨ましい。
「和君は大学行ってもバスケやるんでしょ?」
「ん?あぁ川野辺大学に入学出来たら続けるつもりだよ。田辺も受けるって言ってたしもしかしたらチームメイトになるのかもな」
「そっか。だったら私もマネージャとかやろうかなぁ~」
「マジか!あ、、、でも、、、そうだな・・・」
俺が戸惑ってると由紀が少し頬を膨らませ聞いてきた。
「私がマネージャになるの嫌なの?」
「嫌じゃないけど・・・・」
「ないけど?」
「他の部員と仲良くしてるの見たくないし、どうせなら俺の専属マネが良いかななんてな」
「・・・・も もう和君!!」
そりゃ照れるよな。俺も何言ってるんだろ。
俺ってこんなに独占欲強かったのか?
っていうかその前に大学合格しなきゃだよな。
俺も頑張らなきゃだけど由紀は結構ギリギリだからな。
「お熱いところ悪いけど私と翔太はそろそろ行くわね。名古屋旅行楽しんでね」
「あ、綾女さん。すみません。居たの忘れてました・・・」
「忘れてたって・・・」
「冗談ですよ。ここまで送っていただきありがとうございました。綾女さんと翔太も気を付けて!」
「お姉ちゃんありがとね♪」
*****************
7年目の約束 アフターストーリー11の裏話でした。
名古屋旅行編はもう1話作成予定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます