アフターストーリー 由紀と和志の場合② -地区予選-

<森田 由紀視点>

12月某日の土曜日

私は今、市民体育館に来ている。


今日はこの体育館で和君達バスケ部の地区予選決勝があるんだ。

相手は田辺君が居る川野辺高校。

話に聞いた限り川野辺高校はいつも決勝を争うライバル校らしい。


正直なところ私はバスケのルールをあまりよく知らない。

前に和君に教えてもらったんだけど・・・・途中で寝ちゃった。

でも今日は和君に"よかったら応援に来てくれないかな"って誘われたんだよね。

前にも試合は見に行ったことはあったけど、今回は"彼女として"見に行くんだ。

きっと私が応援したら和君も頑張ってくれるはず!


そんな思いを胸に観客席に入ると、決勝戦ということもあってか結構な人数の人が居て観客席もほぼ埋まった状態だった。

在校生だけじゃなく大学生っぽい人とかも居るからOBの人とかも応援にきているのかな?

そして、私がどこに座ろうかキョロキョロと辺りを見回してると


「由紀ちゃ~ん」


と私を呼ぶ声が聞こえた。

恵ちゃんだ。声のした方を見ると最前列に恵ちゃんや夏川さん達 女子バスケ部のメンバーが座っていた。みんなも応援に来てたんだ。

私は女子バスケ部の席に向かい一緒に応援することにした。


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コート内で真剣な顔をしてパスやシュートの練習をする和君。


・・・カッコいい。


いつもの和君もいいけど、バスケのユニフォームを着て真剣な表情をするのは反則だよ。カッコよすぎる♡思わず見惚れてしまう。


「和く~ん 試合頑張ってねぇ!!」

「由紀!来てくれたんだね。頑張るよ!」


思わず練習中の和君に声を掛けてしまった。

もしかして邪魔しちゃったかな。

でもちゃんと返事してくれた。『和君 頑張れ!』


「まだ試合前なのにお熱いですなぁ」

「うぅ~恵ちゃんの意地悪。いいでしょやっと彼女になれたんだから」

「はいはい。でも今から張り切ってると後半疲れちゃうわよ」

「う うんそうだよね確かに」


そうだよね。まだ試合前だもんね。

ということで少しリラックスして恵ちゃんや夏川さんと話し込んでいると試合開始のブザーが体育館に鳴り響いた。


「由紀ちゃん!はじまったよ」

「う うん!」


試合開始早々、和君が活躍した。

川野辺の選手のボールを弾いて笹原君にパスを出したんだ。

そして、ゴール下に素早く走り込み笹原君からのパスを受けゴールを決めた。


「和君ナイスシュート!!」

「保カッコいいよ~」


私はよくわからなかったけど、笹原君が上手くフェイントをしたことで和君がゴールを決められたみたいが。夏川さん解説ありがとうございます。


「ドンマイ!まだ始まったばかりだよ!!」


あ、川野辺の応援席にいるの小早川さんだ。

そうか、田辺君の彼女さんだもんね応援に来てるんだ。

それにしても田辺君と小早川さんって仲良さそうだなぁ。

私と和君もあんな感じになりたいなぁ~と色々と妄想していると恵ちゃんの声。


「あ、藤原君と保にマンマークがついた」

「え!和君がどうしたの!」


コートを見ると和君に田辺君、笹原君に福島君がピッタリと張り付いていた。

和君も笹原君も動きずらそうだ。


「あ、優君!」


そんな中、夏川さんが叫んだ方向を見ると吉見君がシュートを決めたところだった。そっか仲直りしたって聞いてたけど川野辺には吉見君も居たんだよね。


その後も両校点の取り合いが続いたので、私も女子バスのメンバも声をからしながら応援した。

応援の効果があったのかはわからないけど、まだ森下学園がリードしてる。

このままいけば和君達の優勝だ。


「和君!後1分頑張って!」


みんな疲れているのは見ていてわかるけど後少し。

和君頑張って!私は力の限り叫んだ。

すると川野辺の選手を2人も抜き去りシュートを決めた。


「ちょっと由紀ちゃん 藤原君凄いよ!」

「由紀ちゃんもっと応援してあげて!藤原君張り切っちゃうから!」

「う うん」


私が応援したから疲れてるのに頑張ってくれたの?

・・・和君やっぱりカッコいいよ~


でも川野辺高校も負けてない。

和君の得点の後、田辺君がゴールを決めた。

あれって何てシュートだろう。

よくわからないけど何だかカッコよかったな。

ただ、今のシュートが決まったせいで点差は1点。


後1ゴールで逆転されてしまう。

そして試合終了直前に田辺君が和君を抜き去ってシュートを放った。

もしこのボールがゴールしていたら逆転で川野辺高校が優勝だ。

ただ、ボールはわずかにリンクをそれてゴールならず。

そのまま試合終了となった。


「やった!!たもつ~!!優勝おめでとう!!」

「横田く~ん!おめでとーーー」


恵ちゃんと夏川さんが笹原君と横田君に声援を送ってる。

和君達が勝ったんだ!


「和く~ん!!優勝おめでと~」

「ありがとう!由紀!」


私に向かって手を振る和君。

おめでとう和君。


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午後に行われた女子の決勝戦は、大差をつけて恵ちゃん達森下学園の女子バスケ部が勝利し優勝の栄冠を手にした。

やっぱり小早川さん達の川野辺高校との3回戦が事実上の決勝戦だったんだね。


これで森下学園は男女共に全国大会の出場が決まった。

またカラオケで祝勝会かなw


そういえば、全国大会って静岡で行われるって言ってたよね。

それほど遠くないし私もまた応援に行こうかなぁ~

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