第7話 ごめんなさい・・・
-Side 森田由紀-
早退した次の日。
私は学校を休んだ。
前の日から部屋に籠っていたからお姉ちゃんもお母さんも凄く心配してくれたけど、頭が痛いからって子供みたいな言い訳をした。
今は誰にも会いたくなかった。
ごめんなさい。
お母さん、お姉ちゃん。
私はベッドに横たわり色々考えた。
和君との楽しかった思い出。
そして、今回のこと。
みんなで海に行ったとき・・・溺れそうになった私を助けてくれたな・・・
山に行ったときは、疲れてみんなに遅れた私と一緒に歩いてくれたな・・・
そして、高校受験。
私、頭が悪いから理解できるまで和君には沢山勉強を教えてもらった。
それに和君なら川野辺高校にも合格できたはずなのに一緒に森下学園を受験してくれた。
口では笹原君や横田君と一緒にバスケがやりたいからって言ってたけど・・・
多分私の為だよね。
私は和君に頼ってばかりだ。
本当なら和君に彼女が出来たなら"おめでとう"って言ってあげなくちゃいけないのに嫉妬だよね。夏川さんは美人で頭もいいし和君にお似合いだから・・・・
こんなことしなければよかった。
嫌な女だな私って。
こんなんじゃ振られて当然だよ。
ほんと、自分が嫌になってくるよ。
そして夕方。
話したいことがあるって吉野君が家に来た。
でも・・・申し訳なかったけど会いたくないって言ったら部屋のドア越しに話しかけてきてくれた。お姉ちゃんも一緒に居るみたいだ。
「森田。聞こえてるか?」
「うん・・・」
「昨日な笹原と日岡と話をしてきた。もちろん今回の件について本当のところ含めてだ」
「そう・・・」
「まずな、森田が言ってた浮気の件だけど・・・あれはお前の誤解だった」
「え?どういうこと?」
どういう事?和君は夏川さんは付き合ってるんじゃないの?
「日岡が夏川に確認も取ってくれたんだが、夏川はお前が見たっていう喫茶店でバイトしてるそうだ。
藤原も夏休みから同じ店でバイトしてるらしくてな、あの日は同じシフトだったから一緒にバイト先に行っただけだそうだ」
バイト?私、和君がバイトしてるなんて知らなかったよ?
「それから雑貨屋は、お前の誕生日プレゼントを買うのを夏川に選ぶのを手伝ってもらってただけみたいだ」
「私へのプレゼント・・・?」
「これも日岡が夏川から聞いたんだけど、後夜祭の時にサプライズで渡すつもりでアクセサリを買ってたそうだ。バイトはその資金稼ぎだな」
「そんな・・・私・・・」
和君は私のために・・・それなのに私は勝手に和君を悪者みたいに・・・
「俺な、笹原と日岡に森田と藤原の仲を取り持ってくれないか頼むつもりだったんだ。
だけどな・・・断られたよ。
森田が『彼氏が出来た』って藤原に言った後、藤原な・・・笹原たちの前で泣いたらしいんだ。
森田は"自分の事はただの幼馴染としか見てくれてなかったんだって"言いながら・・・
俺も森田が藤原の事を好きだってのは知ってる。だけど藤原は・・・あの発言でそう結論づけたんだ」
「そんな・・・・」
「笹原からは"あいつを傷つけたお前らに協力するつもりはない"って怒鳴られた。
笹原の言うとおりだよ。俺の考えが甘かった」
「・・・私・・和君に嫌われちゃったんだ・・・酷い事・・・どうすれば」
そうだよね。私は和君を泣かせるような酷い事しちゃったんだ。
あんなにいつも優しくしてくれたのに・・・
これじゃ幾ら私が大好きだったとしても嫌われるよね。
一緒に学校も行きたくないだろうし顔も見たくないよね・・・当然だ。
何だか自然に涙が出てきた。
私は何してたんだ・・・
「それから森田。俺はお前にも嘘をついてた。
昼休みにお前の彼氏役をするって言ったけど、俺は藤原に直接夏川の事を聞くつもりだったんだ。お前には悪いけど俺も藤原が浮気したとか信じられなくてな」
「由紀。ごめんなさい。これは私が頼んだの。翔太は悪くないわ」
「・・・いいよ。吉野君もお姉ちゃんも悪くない。全部私が悪いの」
「由紀・・・」
そう。私が全部悪いんだ・・・・
お姉ちゃんや吉野君に迷惑かけて、和君を傷つけて・・・・
やっぱり駄目だ私は。
「なあ森田。今でも藤原の事は好きか?」
「・・・・うん」
「そうか。じゃあ一緒に謝ろう。俺と綾女もあいつに謝りたいんだ。
あいつは、俺と森田が付き合う事になっても友達であることに変わりはないって言ってくれた。
そんなあいつに俺は嘘をついて傷つけたんだ。
許しては貰えないかもしれないけど素直に謝りたい。
だからさ、森田も一緒に謝ろ。
もう前みたいな関係には戻れないかもしれないけどこのままじゃ嫌だろ?」
・・・このままは嫌だ。
許して貰えなくてもいい。
嫌われたとしてもいい。
私は和君にごめんなさいって謝りたい。
「うん。私も謝りたい。嫌われても仕方がないことしちゃったんだもん」
私は今でも和君が好き。
前みたいに接してくれなくても和君に振り向いてもらえるように今度は、私が頑張ればいいんだから。
でも罰があたったのか、夜になって本当に熱が出てしまい、私は翌日も学校を休むことになってしまった。
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