4-5 レアリティNのワンピース
「私のターン」
訪れるフェズのターン。
人形のような人らしさがない綺麗すぎる織指が、静かにカードを引き抜く。反射的に俺は身構える。
「私は〈レインンボーフェザー スプラッシュキュートワンピ〉をコーデ」
初手でフェズが着込んだのは、予想していた派手さとは正反対なデザインをした桃色のワンピースだった。
「効果の無いノーマルコスチューム……レアリティNだと⁉」
条件も効果もない正真正銘のノーマルコスチューム。
それどころか、俺が身に着ているコスチュームを遙かに下回る最下位のレアリティが銘づけられている――いわゆる雑魚。
デザインに関しては決して地味とは言い難いが、おおよそラスボスである彼女が呼び出すには、いささか意匠が違う。
むしろ、主人公こそが着るのに相応しいコスチュームだ。
「最後にカードを二枚伏せて、ターンをチェンジする」
遙かにレアリティもAPも下回るコスチュームを出しておきながら、何の布石も布陣も展開することなくフェズは準備だけをして手番を譲った。
落とし穴の上に撒き餌を乗せるように、わざわざ弱いカードを出して妨害を誘っているのだろうか。
確かに二枚も伏せれば、それが罠であることは顕著なのだろう。
少なくとも、俺の手札を全て見透かしている奴が、出方をうかがう訳がない。
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