第3話
ああ、なんて幸せなんだろう!先輩とこんなにすぐに付き合えるなんて!
あの後先輩は告白にオッケーしてくれて、連絡先も交換した。
「いや、展開早すぎるわ。先週だよね?あんたが私に先輩が好きになったって言ってきたの。」
「愛に早いも何もないって誰かが言ってた。」
「それに………いいの?思いっきり都合のいい彼女って明言されてるけど。」
他の子とも今まで通りでいいって……、と続けるみっちゃん。心配してくれるのが伝わって嬉しくなる。でもね、今はそれでいいんだ。
「それって私が先輩にとって都合の悪い存在にならなければ、もしくは私以上に都合のいい子か、先輩が本気で好きになった子がいない限りは、先輩の彼女は私ってことでしょう?」
「あんた、変わったねぇ。」
しみじみというみっちゃんに自覚はあります、と返す。
変わったといえば最近よく話しかけられるようになったような?特に男子に。
そのことについて話したらわかる、という風に返してきた。
「そりゃあ、あんたが変わったからだよ。」
「………どんな風に?」
「んー。」
言葉を選んでいたみっちゃんはあっと何か閃いたかのように言った。
「前までは側から見ると無機質な感じの雰囲気だったじゃん?」
「まじかよ。」
「で、今はなんていうか………色気が増した?」
「他の言い方はなかったの?ねぇ?」
私まだ高校一年生。去年まで中学生だったんだぜ?
心外という風に視線を送ればみっちゃんは呆れたように続けた。
「自覚ないんだ?先輩の話をしてる時、やばいよ。感心するくらい。」
「…………嘘」
「まじまじ」
嘘でしょう……。にしてもそれで声かけてくる男子が増えたと………。うわぁ、全然嬉しくない。
ふと、廊下が騒がしくなったのに気づいた。そちらの方を見れば………
「先輩!」
頰が熱くなるのを感じる。みっちゃんに一言入れ、すぐに先輩が寄りかかっている扉の方へ向かった。
「どうかされたんですか?」
「せっかく付き合ったんだし、一緒に昼、食べないかなって。」
先輩が!わざわざ私を誘いに!思わずほう、と息をつく。
「あの、友人も一緒ではダメでしょうか?」
「いいよ、俺のダチとも一緒にどうかって言おうと思ってたから。」
みっちゃんを見れば、心得たという風に二つの弁当を持ってこちらに歩いてきた。
振り返って、自分でも驚くぐらい自然に笑顔で言った。
「ぜひ、ご一緒させてください。」
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