R プラモデル用ジョイント

 ジョイント。物と物をつなぐ部品のことである。

 どのような構造体であれ、ジョイントを持たないものはごく少数だろう。

 また、別々の部品を入れ替えてつなぎ合わせるためにもジョイントは使われる。


 今回はそのジョイントがでてきた話だ。





 SNSではダンジョンの出現にともない、その危険性を軽んじたのか「入らせろ」という意見が増えつつある。

 あれがどういうものか、どういう危険性があるのか、わかっていないにも関わらず現代ダンジョンもののダンジョンと同じものだと思っての発言だろう。

 蛮勇というか、無謀というか、愚かと言うべきか。


 事実として表層は現代ダンジョンものと同じだから困るんだが。

 なんらかの地雷が埋まっているにしても、それはよほどの深層か、あるいはシステムそのものか。そのどちらかだろう。

 ランダム配布のスキルとかに絶対ヤバいのあるよね。定番だとすら言える。

 そしてそれは関わる人間が多くなれば多くなるほど引く確率は高まる。


 可能なら関わる人は増えないでほしい。けれど、それも不可能だ。

 なぜなら、日本にダンジョンが出現してしまったから。

 利害関係がある以上、人が増えることに対して強く出て突っぱねることも出来ない。


 アメリカとか変な押し込み方してきそう。実際基部の街にもわりと変な押し込み方してくるし。

 うちがそれを突っぱねられるのは利害関係がほとんどなく、一方的に与える側でしかないからだ。

 日本にそれは流石に無理だ。


 日本はこういうとき後手に回りがちだからなぁ。

 あれが降って湧いた資源ではなく、災害だと認識してくれればいいが。

 利益という名のカエシがついた、蟻地獄のような災害だ。


 まあいいか。

 今日の分のガチャを開けよう。


 R・プラモデル用ジョイント


 出現したのはプラモデルのランナーだった。

 黒っぽい色合いで、複数のジョイントパーツがついたものである。

 柔らかくて粘り気のあるプラスチックのようで、手で曲げても割れたりしない。


 一見、普通のプラモに入っているジョイント用のランナーにしか見えない。

 特に見た目には異常な点はない。


 とするとなにかをジョイントしてやることがこれの効果なんだろう。

 そう思いながらジョイントを切り取る。

 切り取る道具はハサミとデザインナイフなのでバリがすごい。


 で、これは、と。

 外したジョイントが私の指の先にくっついていた。

 ジョイントの接続面が私の指先にめり込むように刺さっており、パーツがそこに固定されている。


 特に痛みも何もなく、そのままくっついているのでこれがこの景品の効果なんだろう。

 それにパーツの脇を持って引っ張ってみれば簡単に取れる。

 そのままくっついたままになるということもないようだ。


 う、うーん。それだけ?

 地味である。特に用途もない。

 しいていうなら、プラモのパーツを自分の体に飾れるぐらいだ。

 それになんの意味があるかわからん。


 くっつく。離れる。繋げられる……。




 後日。兄がプラモで指先にくっつけて遊んでいた。

 接続されたプラモが兄の意志に従ってうねうね動いていてキモい。

 どうもあのジョイントは自分につながったプラモを操れる能力を持っていたようなのだ。

 だが、その力はプラモ相応。ジョイントはそんなに長さがない。とすると手のひらで踊らせるぐらいしかできない。


 結局なんの意味が……?

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