UR 現代ダンジョン その3

 というわけで、ダンジョンに侵入した。

 警察の検問を透明化と気配遮断、影化によって自分の姿を認識されない状態になって忍び込んだのだ。

 この状態ならば密封されていない限り、施錠されたドアの隙間からでも侵入可能である。


 調査するべきは大きく3つ。


 第一に危険性。

 内部の状態、モンスターの強さを調べ、ダンジョンからモンスターが溢れ出す可能性やダンジョンそのものが崩壊する可能性、あるいはダンジョンがする可能性を調査する。


 第二に利益。

 モンスターを倒して得られるもの、ダンジョンから得られる資源、宝物。

 それらがどのような形で得られるのか。それもある程度知っておきたい。


 第三にシステム。

 ダンジョンそのものが持つ、ダンジョンの特異ルール。これを触りだけでも把握する。


 というわけで突撃。

 ダンジョンの内装はずいぶん広い草原のような姿をしている。そして、上には空のようなものが広がっており、ダンジョンだというのに広々としていた。

 草原にちらほらとゴブリンのような生き物とスライムのような生き物が相互に関わり合いにならない程度の距離を取ってまばらに存在しているのが見えている。


 内部は……まあ外観と一致していない。出現した塔の大きさに比べて10倍では効かない広さをしていた。

 そして、塔であるにもかかわらず階段のような上方へ上がるための構造も存在していない。


 階段ではなく、魔法陣のようななにかの気配は感じる。これは上へ転移するための魔法陣だろう。

 その気配から真上に情報的な繋がりがあるのも感じるからな。


 エレベーター魔法陣はあとにして、モンスターを手早く倒してしまう。

 それによってどのような反応をするかを見るためだ。


 影のトゲによって一瞬で核を貫かれ崩壊するスライム。

 それと同時に、なにかが私の中に流れ込んでくる感覚と、弾けて消え去るスライムの残骸。

 そして、倒したスライムのあとには小さな宝石のようななにかが落ちていた。


 ドロップアイテムを落とすタイプのダンジョンだ。

 そして、流れ込んできたのは経験値……のようなものだろう。

 どのようなシステムで管理されているかは……。


 と、そこまで考えたタイミングで私の目の前に半透明の板のようなものが浮かんだ。

 そこには私の名前と、レベル1と書かれたステータスがあった。

 私のステータスにはレベル1とは思えないような莫大な数値が書かれているが、それは他の強化が認識出来ず、ステータスだけ抽出したためだろう。

 私が使える魔法なども一つも書かれていない。


 ドロップアイテムに経験値、そしてモンスターを倒してレベルアップするであろうシステム。

 これだけでも利益でかいなぁ。モンスターの数がスカスカなので許容できるキャパも小さそうだが……。

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