UR 現代ダンジョン その2
現代ダンジョン。元はポストアポカリプス的な世界観から派生したらしいジャンルだ。
レベル的なシステムを組み込むまでもなく、運と力で成り上がりを果たすための舞台設定であり、そして現実を基盤としているために世界観の説明の多くを省くことができる。
現れてしまった異常は現実を歪めるはずだが、それを語る必要はない、のかもしれない。
今回はその現代ダンジョンが出現してきた話の続きだ。
翌日。ニュースにそれは写っていた。
東京のど真ん中に、突如として出現した古風な螺旋塔の姿が、だ。
アレ間違いなくガチャから出てきたダンジョンだよな……。
それは突如地面から生えてきた。目撃者や監視カメラなどの情報を統合した結果、そういう結論になったようだ。
ガチャ景品は突然出現するので予兆というか、動作があるだけまだわかりやすい。
で、出現したそれだが……塔の四方に入口が開いており、そこには開けた空間があることと、そこにゴブリンやスライムのような、現実には存在しない生物の姿が見て取れることがニュースの映像からもわかる。
また、現在は警察が入口を封鎖している。
いきなりモンスターが溢れ出して大惨事になるということは起こらなかったようだが、考えなしのバカが侵入して~みたいなことは少なかれ起こった。
その大半がモンスターに追われてそのまま逃げ帰ってきているので大事には至っていない。
だが、ダンジョンが出現したということ自体が問題だ。
誰もが、「それはなんなのか」を知りたがる。初動において、国は封鎖することしか出来ない。
危険がわからないものにいきなり警察や軍隊を突っ込ませるわけには行かないからな。
たちが悪いのは、世論が調査とダンジョンの開放に向かいそうなことだ。
なぜなら、前例がある。
竜鮫機神国という前例が。
つまりはその塔は未知の資源と技術が眠る場所だとみなされる可能性が高いのだ。
それも日本が管理できる代物として。
また、現代ダンジョン物の小説が普及しているのも良くない。
このダンジョンもまた、そういうものであるとみなされる可能性がある。
挑むものに試練と力と財宝を与える、利益をもたらす場所として。
当然のことながら、ヤバい。非常にヤバい。
まずに、ガチャがそんな素直なものを出すとは思えない。
そして、うまく行っても死人がいっぱい出るだろう。
ニュースに見えているゴブリンやスライムを倒したときに何が起こるかすらわからないのに、そういう空気が醸成されかねないのが予想できる時点でヤバい。
仕方ない……。行くか。
誰よりも早く潜り込んで実地調査する。
警察の検問なんて私にとっては障子紙も同然だから侵入も容易である。
もしそれが天秤に釣り合わないとするならば。
竜鮫機神国として介入するしかあるまい。
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