R 常備薬
常備薬。読んで字のごとく常備しておく薬のことだ。
何らかの病や怪我を負ったとき、すぐに医者にかかれるとは限らない。また軽い症状ならば療養するだけで治ることもある。
そういったときに利用するのが常備薬だ。主に風邪薬や胃腸薬、傷薬などが常備薬として常備される。
今回はその常備薬がでてきた話だ。
怪人の残した技術を吸い上げるため、資料を読み漁る作業をしている。
研究者としては超一流だということが資料からも読み取れ、本当になんのためにあんなことしたんだよという印象が強まっていく。
テロまがいのことをしようとしなくても引きこもったまま研究進めてよかったんじゃないか?
わざわざ他人にインストールしなくても、クローンチンピラを量産できる技術があるのでそれにインストールすることをすればいいし、異能の研究もわざわざ裏社会の人間に植え付けたりする必要もなかった。
わざと犯罪を起こさせてこっちの動きを図るつもりだったんだろうが……。
なにかに取り憑かれていたんだろうかね。一人でこもって研究しているとおかしな考えに意識を持っていかれがち、とかそういうことだろうか。
超人クラスの魔術師でもそういうことがある、とも言える。私も他人事ではない。
まあ一応、私は議論を交わせる相手が複数いるので問題ないといえば問題ないか。
人間、他人とかかわらないと駄目になるんだなぁ……。
今日の分のガチャ開けよ。
R・常備薬
出現したのは薬箱だった。透明なプラケースで、内部に複数の薬が入っているのが見て取れる。
胃腸薬に風邪薬、痛み止めに絆創膏、整腸剤に下痢止め、湿布、かゆみ止め、あとは虹色の錠剤が入っていた。
おお……常備薬の定番が揃って……揃って……なんかやばいやつ混ざってる。
虹色の錠剤ってなんだよ。薬とは思えない色合いしてるぞ。
どうせこれだろ。そして効果もヤバいと見た。
ラベルが貼られているのでそれを見れば効果も簡単にわかるだろう、と箱を開けてみて、その虹色の錠剤のビンを手にとってみる。
箱の中に、虹色の錠剤のビンがあった。手に取ったビンは、そのまま私の手の中にある。
え? そっち?
なにがなんでも薬を常備状態にする薬箱ってことか?
じゃあこの虹色の薬はなんなんだよ。
見るからに危険物なんだけど!?
後日。兄が薬箱に薬を追加して、増やすことに成功した。
なんでもいいから薬を入れると常備状態になるらしく、追加で入れたものを取り出しても箱の中に再出現するようになるそうだ。
本当になにがなんでも薬を常備する薬箱なんだな……。
じゃああの虹色の薬なに?
幻覚剤?
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