R スーパーデフォルメロボ

 スーパーデフォルメ。2~3頭身にキャラクターをデフォルメする技法のことである。

 ちびキャラともいう。小さく可愛らしい姿にデザインをデフォルメするため、その方向性を好むファンも多い。


 今回はそのスーパーデフォルメな物が出てきた話だ。






 インストール異能の解析を始めたが、やっべなんもわかんね。

 怪人の情報をインストールするための書式と、異能を制御するために付与されている術式の2つぐらいしかわからない。

 他に12系統ぐらい書き込まれているはずなのだが、これがなんなのかさっぱりわからないという。


 根本的に理外の法則っぽいなぁ。異質な異能だと思ったら、読解可能な術式だと判明して、またそこから解読すると理解不能な存在がでてくるの困りものよ。

 しかも多分これ、見覚えがあるというか、物質を術式化しているというか……。


 ガチャの景品と同じ気配がするんだよなぁ。

 ものを情報化して術式化する技術はあの怪人にはあった。

 つまり、ガチャの景品のようなものを情報化して術式化した場合……どうなるか。

 考えたくない可能性だ。


 ……今日の分のガチャを開けてしまおう。


 R・スーパーデフォルメロボ


 出現したのは4mほどのロボだった。それも2~3頭身のものである。

 白い鎧を身に着けているようなデザインで、でかい頭のメインカメラの部分に瞳のような造形が施されていた。


 小さい頭身は威圧感を軽減する……と思われがちだが、物体としての密度が違いすぎて巨大なダンプカーみたいな威圧感がある。

 これなら10m級の8頭身ロボのほうがまだマシな場合もありそうだ。


 昔はこの頭身のロボが一時期流行っていたという話は聞いたことがある。

 プラモデルでも、あるロボットシリーズのデフォルメ版が息の長い商品としてで続けているということも。


 でも実際に実物として出現すると……ちゃんと可動しそうにないデザインにおののく。

 背中側からはしごが伸びていて、そこから乗り込めるようになっているが、乗って大丈夫なものなのか?


 プラモデルのやつのデフォルメはそれ自体が生き物のキャラクターとして振る舞っていたり、シリーズ本編のデフォルメ版だったりするからそこのあたりの問題は無いわけで。

 デフォルメされたものに乗るのは危険がつきまとうのでは?


 まあいいか。起こる現象が物理攻撃ならどんなものを食らってもノーダメージにできる自信がある。《完全影化》は物理で破壊不可能な状態になるからな。


 というわけではしごを上って乗り込み……オープンな操縦席だ。ロボのうなじあたり、バックパックがせり出した部分にベランダみたいに空間があって、そこに操縦席があるタイプ。

 しかも立ち乗りだ。


 とりあえず動かしてみよう……この不安になる二本のレバー方式。先端の球体を掴んで前後させると、それに伴ってロボが足をあげ、踏み降ろす。

 ……全然進んでない。スーパーデフォルメされたロボの足は短いのだ。

 当然、歩幅も短くなる。

 なんなら人が歩いたほうが速いまである速度しか出ない。


 大丈夫かこのロボ!?




 後日。兄がホバー機能の存在を発見した。

 どこにスイッチあったんだよと言いたくもなるが、なんかぐりっとひねったら出てきたと言われてはぐうの音も出ない。

 景品のインターフェースが不可解なことになっているのは今に始まったことではないからだ。


 ついでに破壊兵器がついてることも判明した。

 なんか胸の宝石からビーム出るんだってよ。

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