R 巨大な塩

 塩。生命の必要不可欠な成分であり、海水に多量に含まれるものだ。

 主に手に入れる手段は鉱石のように埋まっている塩の岩を取り出して使う方法と、海水を煮詰め乾かして取り出す方法に分かれる。

 そして、手段によって含まれる塩以外の成分が異なり風味も違ってくるのだ。


 今回は巨大な塩が出てきた話だ。





 術式破壊呪文に耐えて生存した怪人を確保した。

 流石に致命的なダメージだったようで、ほとんど動けない状態になっていたので確保させたのだ。


 で、どうやって耐えてたのかというと、人間に自分自身をインストールしていた。

 あの謎の異能は自分自身をインストールするための実験だったのだ。


 あの別系統に見えた術式は、自身をインストールするための拡張と書式に由来していたといえる。

 そもそも怪人が使っている術式自体、別系統レベルで独自性に満ちたものなので余計にそう思わされていた。


 まあこれで怪人の方は片付いた……はずだ。

 異能インストールされたやつが何人ぐらいいるかまだ全然把握してないけどな。

 数少なければいいが。


 今日の分のガチャ開けよう。


 R・巨大な塩


 出現したのは巨大な鉱石だった。白い結晶化した鉱石だ。

 異なる白が層を連ねており、ただそれだけでも美しい。

 で、紙に書かれていることを信じるなら……これは塩鉱石、岩塩だということである。


 岩塩かぁ。塩である以上、調味料として使うのが正道だが……。

 食べるものとなるとどうしようか。

 調味料だからなにかかける料理が必要になるわけだが、まあいいか。


 とりあえずナイフを取り出して、表面を軽く削ってみる。結晶同士が剥がれて細かいかけらになってパラパラと手のひらに落ちた。

 少量とはいえ簡単に取り出せるとなると、割と脆いのか?


 取り出したかけらを舐めてみることにする。

 もしなにかヤバそうならすぐ吐き出せばいい。


 そう思って舐めてみたのだが……甘い。まるで砂糖みたいだ。

 上白糖を直に舐めているみたいな尖った甘みが舌に伝わってくる。


 とすると……先ほど削った層ではない層の塩を削り取り、舐める。

 苦い。魚のわたみたいな苦みがする。


 あー……、層によって味が違う岩塩、ってとこか……。

 でもこれで味付けしたら一瞬で塩分過多になるのでは?

 塩は塩なんだよね?



 後日。兄が奇妙な味の塩を取り出した。

 「サクい」味の塩である。

 層ごとに味が違うのはわかっていたが、そんなわけわからん味まで含まれているとは思わなかった。

 いや、むしろあることが予想できてしかりだったのか?


 なお塩は塩だったみたいで、成分的には100%塩。他の調味料の代わりにかけると一瞬で塩分過多間違いなしである。

 こういう危険性もあるのか……。

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