R 棒針
棒針。これで毛糸を引っ掛けて編み物を編み上げる道具のことである。
見た目は太い箸というか、先端にフックのようなものがあるものだったり、ただ尖っているだけの棒のようなものもある。
今回は棒針がでてきた話だ。
対怪人の術式破壊呪文を機神に使わせた。世界全体をスキャンする関係上、そのローディングでわりと時間がかかる。
範囲捜査は重い魔法だ。演算力が必要というのもあるが、得られた情報を分析する手間、魔法を広げる手間と様々な知的コストがかかるのだ。
他の魔法と違い、一括で処理する必要があるためなかなか使えない代物である。
なので術式段階で最適化する必要がある。例えば得る情報を削ったり、検索対象を限界まで絞ったり、そもそも読み込む情報範囲を絞ったりだ。
そういう最適化が出来ないと使えないのが情報を捜査する魔法である。
アイテム鑑定系の魔法がなかなか作れないのも同じ理由である。
そんなことを考えていたら怪人への攻撃が終わったようだ。
撃破数……40、残存、2。
え? 40体にも増殖していたのは驚きだが、アレ食らって残存したの?
もしかしてその2体。完全な術式じゃなかったから倒しそこねたのか……?
なんらかの形で受肉している可能性がある、ということか。
イヤすぎる……。生存性が高い……。
まあいいや。
ガチャを開けよう。
R・棒針
出現したのは棒針だった。ピンクと水色のプラスチック製のものだ。
また、抱き合わせか赤っぽい毛糸玉に突き刺さっている。
これでなにかを編めということだろうか。編み方など知らないが。
よくわからないが、とりあえずマフラーのようなものをスマホで編み方を調べて試してみることにする。
糸を棒針に絡ませ、編み始める。なぜかするりするりと、初めての工程だと言うのに簡単に編み上げていく事ができる。
これも効果の一つだろうか? 誰でもマフラーを編めるというのは評価に値する……かもしれないが地味である。
しかし、編み始めて5センチぐらいマフラーの形になったところだろうか。糸の色が変わり始めた。
徐々に色が変わっている。最初は赤っぽい毛糸だったはずなのに、編み込んだ部分が橙色っぽくなっている。
先に編み込んだ部分は赤っぽいし、編んでいない毛糸も赤。
だが編み込んで棒に絡んでいる部分が橙色をしている。
いやいや、これはもしかして。
そう思って手を早める。思ったとおりに動く棒針は雑な仕事になりながらもそのマフラーの長さを伸ばしていく。
黄色、緑色。
編まれたマフラーは徐々に色が変わって行く。
やっぱりそうだ。
編んだものを虹色にする棒針ってことか。
なんというか。
地味な上に嫌がらせっぽいだろそれ……。
後日。兄が
部位ごとに異なる色……というか、なぜかどぎつい色合いに変化していて、どことなくエナジードリンクを想起させる。
虹色にも色々あるが、そういう虹色が選定されることもあるのか。
重ねると効果が強くなって光りだすかもって? マジ?
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