R 騎士の兜
兜。頭部を守るために使われる防具である。
現代ではヘルメットのようなものだとイメージするのがわかりやすいだろう。
当然、用途や設計思想によって形状が異なってくるのもヘルメットと同様だ。
戦場においては顔の代わりになることもあって、派手な装飾が施されていたりすることもある。
今回は騎士の兜が出てきた話だ。
術式破壊呪文を発展させて、術式そのものを追跡して破壊する術式を作り上げた。
もちろん怪人を追跡して破壊するためのものだ。
当然、私でも扱いきれない超巨大な術式となった。対象を全世界に広げて、見つけた術式に波長をあわせ、術式を投射、破壊する代物として作ったので実行コストがめちゃくちゃでかい。
宮廷魔道士級の天才を100人集めた儀式魔法でも動かせないだろう。私が5人ぐらい必要だ。
まあもちろん、機神なら動かせるから問題ない。もはや世界法則を敷くレベルの術式であるが、機神としての演算能力では実行可能だった。
でも結構かつかつである。術式の最適化不足で機神の瞬間最大出力の余剰3割を使ってしまう。
理論上は恒常出力余剰の2%くらいで動かせるはずなんだが。
まあいいや、別に最適化しなくても。怪人を一方的に攻撃できる術式だから問題はないだろう。
だってこんな怪人、他にいないはずだし……。
さて、ガチャ開けよう。
R・騎士の兜
出現したのは兜だった。バケツヘルムと呼ばれることもあるバケツに似た形の兜が出てきた。
円筒状にのぞき穴が開けられたシンプルな構造のものに、装飾が施されている。
被り物だ。防具だ。身につけるものだ。
装備したら効果を発揮するタイプか、装備中にアクティブで効果を起動させるタイプか。
他に思いつくのは常時効果が発揮しているものか。
装備時に能力値に補正がかかるやつが一番わかりづらいんだよなぁ。鑑定とかないから数値を覗き見る手段がなく、装備してみて試すしか無いがその増加量がそもそも微増だったりしてわかりにくいという。
装備した時点でわかりやすい効果があれば楽でいいんだが。
そう思いながら被ってみる。
サイズが合わず、兜が大きいために安定しない。そして、金属むき出しのために顔の皮膚や髪の毛が削がれる。
そういうものだといえばそういうものだし、内側に被るものをつけてないので仕方ないといえば仕方ないが……。
で、被ってみたはいいが、なにかあるかというと……無い。
体感できる効果が何も無い。
全身に自分の体調や状態を把握する魔法を張り巡らせてみたがそこにも反応がない。
えー……。下手すると総当たりである。
めんどくさい。
後日。兄が兜をつけながら、なにやら本を読んでいた。
なんでも、兜をつけたままの状態で記憶しようと思った知識が100%定着する効果がある、とかなんとか。
どうやって、は聞くまでもないか。兄は1日おもちゃにして被ってただけだ。
その中で記憶力が向上していることに気がついたんだろう。
で、今本を読んでいるのはそれの再検証だ。
ただ意味はないな……兄はガチャによる強化の影響で自前でそれをやれるし、私も魔法でそれができる。機神は言わずもがな。
兜の形で出たせいで取り回しも悪い。
ガチャの景品はそういうものだといえばそういうものだが……。
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