R 傀儡術師初級教本
傀儡。糸などで操る人形のことだ。
人形劇などで使われるもののことで、転じて操られている人・組織のことをさして使われることもある。
今回はその傀儡が出てきた話だ。
新種異能を植え付けられた被害者を保護することに成功したと組織から報告があった。
ほぼ誘拐同然で連れていているのでヤクザまがいなところは直っていない模様。
で、くだんの保護された被害者というのがまあ絵に書いたようなチンピラである。
「やんのかこら」「ぶっ殺すぞ」「どこの組のもんじゃ」の3つしか語彙がない。
そして、裏を探っても過去の経歴も出てこない。
明らかにおかしいと思った組織は、監視カメラなどを追跡調査することで、地面からこのチンピラが生えてくる姿を見つけ出した。
そう、これは無から湧いたチンピラである。
ええー……。
語彙が3つしかないのは、3つしかインプットされてないから。
絵に書いたようなチンピラなのは、おそらく因縁をつけさせて事件を起こすためだ。
とんでもねえテロ兵器だった。
そんなことあるのか。
似たような魔法は使えるけど、露骨に影法師みたいな姿だし、自分の影からしか出せないし、割と脆いぞ。
完全な生命体をインスタントに作り出すのは……相当高度である。
また怪人の厄介な能力が一つわかったのは良かったところだろうか……。
良かった探しでしかないが。
当然悪いところのほうが多い。
怪人の正体がさらに不明になったところでこの話はおいておこう。
今日の分のガチャを開けてしまわなければ。
R・傀儡術師初級教本
出現したのは書籍だった。
教科書みたいなサイズ感で、ページ数が多いのかわりと分厚い。
そして、表紙には「傀儡術師初級」の文字。
つまりは傀儡を操る魔術かなにかの教本ということになるのだろうが、猛烈に嫌な予感がする。
この手のガチャで素直なものがあったはずがない。
ぺらり、と目次を見てみる。
出るわ出るわ、「人形の作り方」「魔力伝導」「洗脳魔術」「傀儡政権の作り方」「人心掌握」の文字。
前半はともかく後半。
人を思い通りに操る方の傀儡ってわけですねぇ~!
どういうことだよ。
そんなものの教本が存在していることが恐ろしい。
ただ内容は思ったよりも真っ当というか。
広域魔法とそれの維持、意識の誘導などかなり正確に書かれている。
申し訳程度に木製人形や石製人形を操る魔法についても。
そう、通読して実践すればちゃんと初級傀儡術師になれる。
魔法耐性のない小国ならこれ一冊でめちゃくちゃにできるだろう。
つまり危険物だな!
後日。兄が機神に読ませていた。
その結果、機神は
10%ぐらい。
掲載されてる魔法の式がだいぶ洗練されていたとはいえ、初級本でそんなに上がるのか……。
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