SR バギー・ホッパーと秘密のカギ

 鍵。それは閉ざされた扉を開けるのに使う小さな道具だ。

 鍵と錠で一セットであり対応したものだけが開閉可能なようになっている。

 なら鍵だけがある場合は。

 なにかを開くためにあるのだろう。


 今回はそのカギが出ていた話だ。







 神器はあっさり完成した。

 まあはいるような邪魔もなく、技術面も機神が担当。

 失敗する要素がないといえばない。


 核に紅色の硬貨を使い、安定性を強化し、さらに増幅する効果を持つ。

 ぶっちゃけ出力過剰だ。

 一切の信仰の供給がなくても最低限の動作すら可能になってしまった。


 で、そこまでして作った神器の効果はというと。

 一つの国家における学習効率を向上、である。

 範囲内にいる人間の学びの効率を大幅に強化するのだ。

 範囲を国家規模にしたので一人あたりの強化率はだいぶ低くなったが、あまり高いのも考えものだったので好都合だった。


 供給される信仰の総量にもよるが大体10%から30%の程度の強化が行われるはず。

 基部の街にいる人間ならば普段よりちょっと調子がいいかな、ぐらいの範囲にとどまる。

 そもそも学習効率は環境に影響されて結構振れ幅が大きいからな。


 これで魔法技術を外に出す効率も上がる。

 外に出すより早く知識や技術が溜まっていく現状、この速度は上げておきたい。

 一般的な国家ならともかく、竜鮫神国にとっては利点はない。

 技術格差はいくらでも作れる。

 ならもっと世界に発展してもらったほうがになる。


 まあそれはいいか。

 今日の分のガチャを回そう。


 SR・バギー・ホッパーと秘密のカギ


 パクリじゃねえか。

 カプセルを開け、中に入っていた紙を見てそう思った。


 出現したのは鍵だった。

 一般的なものではなく、ファンタジー映画などに出てくるような棒状で装飾の多い代物である。

 細かな宝石で彩られた見事な銀細工の一品だ。


 で、鍵。

 鍵だけ出されても困る。

 基本的に鍵と錠は一対だ。

 同時に存在しなければ意味がない。


 ということはなにかを開くためにあるはずだが。

 とりあえず色々突き刺してみることにした。


 テーブル。反応なし。

 柱。反応なし。

 サメ機巧天使シャークマシンエンジェル。反応なし。

 サメ妖精のシャチくん。反応なし。

 私の頭。反応なし。

 自室の扉。反応なし。


 扉の鍵穴。反応あり。

 ヒットした。

 ズルゥと、スライムか何かが侵入するがごとく、先端が液状にも似た動きをして鍵穴にはまり込んだのだ。

 普通に引っ張って抜けそうだが、今回は効果の確認。

 ガチャン、と鍵を回す。


 ギギギ、といつもより重苦しい音を立てたながら扉を開くと、それは見たことがない部屋だった。

 ざっくり体育館ぐらいの広さのある、石材で作られた城の一室のような部屋が扉の先に広がっている。

 扉の先は私の部屋だったはずだが?


 というかこの鍵の名前のパクリ元に出てくるアレでは。

 あったりなかったり、必要なものが揃ってたり大きさが変わったりするあの部屋。

 ……というか秘密の部屋はそっちじゃねえ!


 部屋の検証……。

 えー。

 面倒そう。


 元ネタ通りだとすると、なにからてをつけていいものか。

 なんでもありすぎるのは本当に困る!




 後日。兄が部屋の検証をした。

 具体的には鍵を差し込むときに強く思い浮かべた内装に変化する部屋だったようだ。

 割と困るのがこの鍵もリソースの概念がぶっ壊れた代物で、兄が思い浮かべて開いた部屋が「完全な永久機関発電機が置いてある部屋」。

 当然通らないと思ったのに、あけたらあったよね。

 それも家庭用発電機ぐらいの大きさのものが数十個並んでたよね。

 その上最大出力が核融合炉並だったよね。


 どないせいっちゅうねん!

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