R フィールドワーク
フィールドワーク。それは現地に赴いて、その場にあるものを調査することを指す言葉だ。
植物でも動物でも、あるいは遺跡など、現地でしかわからないことというものは非常に多い。
資料で見るのとは異なり、様々な情報がそこには存在しているわけだ。
今回はそのフィールドワークが出てきた話だ。
……何いってんだ?
機神が
いや、治療というにはいささか語弊が多すぎるが。
だから機神は、邪神の手指を動かして哀れな被害者の魂を検分。
まあ問題があるとすれば、その改造された部分の結構な割合が、元の人格に関わる部分だということだが。
治療して元の人間に戻せても、人格を損なうのでは余り意味がない。
あ、魂の状態を戻せたら具現化した肉体も消滅したので今は
これ、やっぱ実質的に助ける手段は無いってことなんじゃねえかな……。
人格が破壊されているのではどうしようもない。
七界統率機構の資料によると、人格を保っている奴らはだいたい超危険なヤツばかりだそうで。
ヤバいやつばかりが人格を維持できる、ろくでもない仕様のようである。
危なすぎるなぁ……。
まあ、討伐という手段とはいえ七界統率機構が対処できているようだし、気にする必要はないかな?
今日の分のガチャを回そう。
R・フィールドワーク
出現したのは、分厚い一冊の本だった。
朱色の革製の表紙が付けられていて、表題が「フィールドワーク」となっている。
……?
フィールドワーク?
これはどう見ても図鑑や書籍のような、フィールドワークとは対局にあるものだと思うのだが。
とりあえず……とパラパラとめくってみた。
すると、それに合わせたかのように周囲の景色が変わっていった。
ページをめくればめくるほど、ジャングルや岩山、深海や宇宙空間へと。
テラスだけが取り残されている。
……は?
開いたページには動物の説明が載っているが、詳しい説明はあまりない。
概要だけ書いてあり、空欄が目立つのだ。
後ろにある扉は未だ部屋につながったままであり……その風景が幻覚に似たなにかだと感じさせる。
確かなリアリティがあるが、あの本から出現して投影されているものに過ぎないのだと。
本を閉じるとその光景は消え去った。
……なんだったんだ。
あ、もしかして……。
あの風景を使ってフィールドワークしろってこと!?
そんなめちゃくちゃな方法ある!?
後日。兄が本の中から鉱山の景色を見つけ出し……その中から鉱石を採集して持ち帰ってきた。
その鉱石は薄く青みがかった銀のような光沢を持ち……いやこれこの間出たミスリルだよ!
回収したその鉱石は本を閉じても消滅せず、残っている。
確かな実体があるようである。
なんだこの本……。
何に使うためのものなんだよ……。
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