R ミスリルの鍋
ミスリル。それはファンタジーに登場する、魔法の金属の一種だ。
美しい銀の輝きと鋼を超える頑丈さ、そして軽さを兼ね備えた夢の金属であり……作品によって様々な特性が付与されていたりする。
なまじ魔法の金属として有名なだけに、その性質は一定しないと言っていいだろう。
その作品の傾向における、優れた金属の特性をもつと言っていい。
つまりは……魔法が強い世界なら魔法の行使を阻害せず強化する、などだ。
今回はそのミスリルで出来た鍋が出てきた話だ。
霧星に新しい国が出現している。
いや、はじめからそこにその国が存在していたことになっていた。
どう考えても七界統率機構……異能組織が作った国である。
その国は霧星全体の文明レベルと比較しても明らかに異常だ。
彼らの魔術をベースにした現代文明が構築されており、それが結界のようなものに覆われて隠蔽されている。
というのも、彼らは邪神とも敵対しているのだ。
邪神の霧の持つ存在改竄は
国を偽装しての冒険者支援や魔術教育など、主に支援方面で対策をしているのだ。
これによって邪神の眷属の出現などに対処できるように、及び発見した場合にすぐ情報が上がってくるように。
あと、いくらでも実戦ができる理想的な環境とも言える。
……邪神はもう討伐した上、精神支配して乗っ取ってしまった。
霧星に残っているのは……まあ残滓みたいなもんだ。
残っている北部の邪神の霧もそのうち消える。
出現した時点で役目を終えている組織ってこう……悲惨な気もするが……。
まあ私には関係ないな!
後片付けなんかも必要だろうし、無駄にはならないはずだ。
今日の分のガチャを回そう。
R・ミスリルの鍋
出現したのはわずかに青みがかかった銀で出来た鍋だった。
総金属製、皮膜のようなものも何も張られていないことがその銀色からも見て取れる。
サイズ感や作りはホーロー鍋のようなもの……のようだ。
で……名前からして、これはミスリルで出来ているようである。
ミスリル……ファンタジーの定番金属。
その特性はやっぱ作品によって違うから……この鍋の場合はどうだろうか。
ヒヒイロカネみたいに増えるのだけはやめてほしい。
とりあえず使ってみるか。
鍋だし、なにかを煮ればすぐわかるだろう。
そう思って、とりあえず水を注ぎ、火にかけた。
1時間後。
全く沸騰していない。
なんなら手を入れられるぐらいに冷たく……入れたままの水温である。
ええ……。
まさかの完全熱変動耐性……?
なぜそんなものを鍋に……?
料理……出来なくない……?
後日。兄がミスリルの鍋で焼き芋を作っていた。
ミスリルの鍋は何が何でも熱を逃さないので、入れたものの温度が下がらない。
超長時間放置していると荷電粒子の放出やらあらゆる物体から出ている放射線の影響やらで少しずつ温度が上がる可能性はあるが、焼き芋が出来上がるまでの時間程度なら全く問題がない。
作り方は簡単でアルミホイルを巻いた芋と焼いた石を一緒に鍋に放り込み蓋をするだけ。
あとは時間が勝手にじっくりと温めてくれる。
いや……調理……調理だけど……。
鍋の使い方じゃ……なくない……?
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