R 光学迷彩
光学迷彩。文字通り光を制御することで実質的に透明になる迷彩機能のことである。
これを実現するために現実ではメタマテリアルと呼ばれる負の屈折率を持つ素材を利用して迷彩効果を得ようとしている。
その成果はというと、現状ではマントに背景の映像が浮かんでいる……といった感じだ。
長期的に見れば完全な実現は不可能ではなさそうである。
今回はその光学迷彩が出てきた話だ。
クラスシステムをすべての
基本的に
戦闘に由来するものと生物に由来するものと機械に由来するものの組み合わせで知性が構築されており、それらに由来する欲求も持ち合わせているが、自発的な思考というものは皆無だと言える。
AIのような機械知性に戦闘技術を乗せて、脊髄反射を別途に組み込んであると考えれば大体あっている。
これは自我の構築がなされていない、というかダンジョンの機能の一部としての存在だから総体としての思考を共有できればそれでいいためだ。
複数並べようが
そんな状況ではまあ自我と呼べるものを持ち合わせているのは機神だけになっても仕方あるまい。
だが、クラスシステムの実装によってそれは大きく変わった。
クラスという役割によって、それまでと異なる思考を必要とした
最も職業倫理とか職業理念とかそういうのに沿った思考でしか無いが。
ただ異なる思考を持った知性が複数あるということはそれが新たな物事へのブレイクスルーとなるのだ。
事実、画一的だった静止衛星軌道上ステーションの街モドキが、曲がりなりにも街として動き始めている。
エルフの里とかあるしもうちょっと発展するといい感じになりそうだ。
最悪全部放棄しても維持できる状態になるといいな……。
さて。
ガチャを回そう。
R・光学迷彩
出現したのは青い色をしたレインコートのように大きなマントだった。
頭からかぶることにより全身が布に覆われる、そういうサイズのもの。
かなり大きめのフードも付いていて顔まですっぽり隠れる。
外見はでかいだけのマント。
だがガチャの紙にはこれが光学迷彩だと書かれている。
見た目青色で透過していたりはしないのだが。
まあとりあえず着てみるか。
そう思って頭からかぶる。
すると、電源が入ったのか、着ることによって起動するようになっていたのか。
マントの表面に別の色が浮かび始めた。
その色はどんどんと色味を調整していくように変化し、やがて完全にその向こう側にあるであろう色にへと到達する。
完全に透明になったわけではない。
私は着ているために至近距離から見ている。
それ故にマントのシワなどが見えているが……。
これ、1~2メートルも離れたら背景に溶け込むのでは……。
そう思わせる程に、精巧に向こう側を写し取っている。
この間ネットニュースで見た研究中の光学迷彩よりも遥かに出来が良い。
……出来が良いのは良いんだが。
なんなら10年後には普通に実用化されてそうというかなんというか。
それぐらいの……妙なしょっぱさがある。
近づいて見ると輪郭が歪んで見える程度とかそういうレベルに到達しているわけではないのだ。
あくまでマントの表面を迷彩効果を施す程度。
極めて注意深い人が見れば一発でバレる。
なんか……中途半端だなこれ!
SFのなり損ないみたいだ……。
後日。兄が機神に光学迷彩を解析させて、完成版を作り上げた。
わざわざ兄が私を驚かすために部屋の前にそれを着て立っていたから間違いない。
気が付かなかったので思いっきりボディーブローを食らわせてしまったじゃないか。
この完成版の光学迷彩は本当にすごい。
剥き出しの顔と足の先以外は完全に透明になっているのだ。
近づいてみても、わずかに気配があるだけで視覚的には全くわからない。
いやまあ、私も
なお兄には使えない。
……いやまて。
なんで機神は解析できたんだ?
あれは純粋な科学の産物ってこと?
マジで?
ガチャの景品なのに?
なんというか……。
困る……。
未来の技術を軽率に与えるのはやめていただきたい。
なまじ機神で簡単に実現できるだけに、持て余すんだよォ!
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