R 枚数の多いトランプ

 トランプ。前にも紹介したような気がするが、4つのスートと13までの番号が振られたカードの束だ。

 このスートと番号の組み合わせによって52枚、番外であるジョーカーを加えて53枚を一組とするトランプは、様々なゲームに利用できる。

 カードに割り振られた役割がシンプルでかつ偏りがないため様々なゲームを考案できるという点において優れたデザインであると言えよう。


 今回はそのトランプが出てきた話だ。







 結局邪神の残骸は機神が回収した。

 洗脳魔法で機神の近くまで誘導して、機神の霊的実体で掴み上げるというなんというか微妙な手段で固定している。

 まあ仕方ないと言えば仕方ないのだ。


 単純に、霊的次元でどうこうできる技術力がない。

 いや洗脳サーバーを通じて邪神を動かしてどうのこうの、は可能だがまだその邪神に何が出来るのかよく分かっていない。


 まあそれを調べるためにガッチリ掴める位置まで移動させたというのが今回した作業だ。

 機神なら多少干渉出来るが、霊的次元からすればひよこに足が生えた程度でしか無いだろう。

 まあこっちも精神攻撃系の魔法をいつでも好きなだけぶっ放せるので攻撃力だけはあるが。


 まあ、まともな物理法則が通用する世界ではない。

 物質世界における機械じかけの神である機神には……現時点では微妙に手を出しあぐねる領域である。


 つまり。

 邪神をいじくり回してまた進化する……。

 霊的次元に適合した新しい力を獲得するだろう、多分。


 本当にこいつ際限ねえな……。

 

 はあ。

 ガチャ回そ。


 R・枚数の多いトランプ


 出現したのはトランプだった。

 ただ、その箱が異常なほど分厚い。

 箱から見ても中にはいっているトランプの枚数は100枚以上。

 薄い紙を使ったトランプのようであるが、その枚数によって指で摘みそこねるほどの分厚さになっている。


 箱から出してみても……やっぱり多い。

 100枚じゃ効かないほどの枚数だ。

 200枚超えデッキバベルかな?


 まあ、実際150枚前後ぐらいのようである。

 隣に同じような紙のトランプを用意してみたら3倍前後ぐらい。

 それにしたって無闇矢鱈に多いが。


 で、これはトランプを3セット混ぜたものなのかと思って私は1枚目をめくってみる。

 炎のような形をしたスートに、25とやたらでかい数字がついていた。


 うーん……。

 トランプじゃねーじゃんこれ。

 多分トランプと同じような構成なんだとは思うが、スートと数字がバグっているタイプの景品だろうか。

 いや、それで本当に終わるか?


 そう思ってカットしてみた。

 枚数が多いので非常に切りにくい。

 うまく混ざっているのか不安になる。


 うまく混ざったと思いたいぐらいにはカットした。

 なので、上から5枚めくってみる。


 火の5。

 ダイヤの5。

 水の5。

 丸の5。

 スペードの5。


 うわあ、メチャクチャなファイブカードが出来上がっちゃったぞ。

 いやスートも統一しろよ。


 というか……これじゃ遊べなくない?








 後日。兄がトランプを使って爆発を起こしていた。

 何がどうしたらそうなるのか。


 トランプの起源はタロットカードだと言われていて、まあこれは占いはもちろん魔術なんかに使われることもある由緒正しいやつなわけで。

 どうもそういうヤツだったらしい。


 カードを山札からドロー!

 組み合わせて効果を発揮!

 相手に大ダメージ!


 といった具合で、トランプを投げつけて魔法のような現象を引き起こしていた。

 しかもものすごい勢いでトランプを消費しているはずなのだが、山札は一向に減る様子がない。


 うーん。

 やっぱトランプってそういうものじゃなくない!?

 トランプは武器じゃねえよ!

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