R 水鉄砲

 水鉄砲。それは水に様々な方法で圧力を加えたりすることで勢いよく水を飛ばす玩具である。

 簡単な作りのものでは、竹の筒に穴を開けて布の塊をつけた棒で水を圧縮する方法でも遊ぶ事ができる。

 また電動の物まで存在しているそうで、水遊びにどこまで本気なんだ……という気がしないでもない。


 今回はその水鉄砲が出てきた話だ。










 そう言えば、まだ進んでいない調査がある。

 機械じかけの星はダンジョン化したとはいえその内容はほとんどわかっていないし、極彩色の星はそもそも調査に踏み入れていない。


 サメ機巧天使シャークマシンエンジェルで踏み入れない危険地帯ってなんだ。

 単独で宇宙を航行可能なヤバいモンスターだというのに、それ以上の脅威がゴロゴロしているのだ。


 基本的に出てくるモンスターやら地形やら植物やらが全部漫画に出てくるような異能を持っていると思っていい。

 磁力操作食らわせてくる昆布ってなんだ。

 バリア張る鳥ってなんだ。

 サメ機巧天使シャークマシンエンジェルの胴をすっぱり切断してしまう尻尾を持つ恐竜ってなんだ。

 急成長して絞め殺してくる植物ってなんだ。


 まあ一つ一つ、調べては対処法を組み立てて少しだけ前進している。

 飛び跳ねて弾丸のように突き刺さってくる魚を受け流せる盾を持たせたサメ機巧天使シャークマシンエンジェルを用意し。

 植物を焼き払うための魔法を用意し。

 建物を強化できる素材を用意し。


 それらを以て、最寄りの土地に橋頭堡を築くことに成功したのだ。

 ほとんど要塞なんだが。


 これによって鋼よりも硬い木材を手に入れられるようになった。

 サメ機巧天使シャークマシンエンジェルを絞め殺す木を加工したものではある。


 まあ、硬すぎて使いようがないんだけどな!

 調査団相手に売ればなにか使い道を見出してくれるんじゃないかな。


 ぼんくら素材は置いておいて、ガチャ回そ。


 R・水鉄砲


 出現したのは水鉄砲だった。

 後部に水を入れるタンクがあり、銃口の下部に圧力を加えるためのポンプがある、割とお高いやつである。

 しかもデカい。

 抱えるほどの大きさがある。


 しかもタンクにはすでに水が満たされていて、重いのだ。

 2リットルペットボトルぐらいあるタンクなので当然それに見合うほどの重量がある。

 水鉄砲自身の重さを考えると、とても遊びに持ち出す気になれない重さだ。


 加圧ポンプも硬い、というか重い。

 明らかに一回で入れる空気の量じゃないだろ、と言いたくなる重さが手に伝わってくる。

 というか押し込むと空気が漏れる。


 そこまでして用意して発射した水は、レーザーのように細く、鋭く飛ぶ。

 飛ぶが……あくまで水鉄砲最上位の精度とパワーである。

 人に向けると怒られるかも知れない程度の力しか無い。

 飛距離はあるが……。


 これは普通の水鉄砲では……?









 後日。兄が水鉄砲でダンジョンのスケルトンを消滅させていた。

 どういうことなの!?

 と思ったが、どうもこの水鉄砲。

 加圧すると同時に、充填されている水を聖水に変えるようなのだ。

 聖なる属性に弱いスケルトンは溶けるように消滅する程度には強力な聖水に。


 なにその……。

 なんに使うつもりで作ってんだよ……。


 途中でめんどくさくなった兄はタンクを外して直接スケルトンにぶっかけていた。

 まあ……そうなるな……。

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