R クッキークリームサンドリムーバー
クッキークリームサンド。2枚のクッキーをクリームで貼り付けたものだ。
ココアクッキーに白いクリームを挟んだものが主流である。
牛乳につけて食べると美味しいらしい。
今回はそのクッキークリームサンドを剥がして2枚のクッキーにする道具が出た話だ。
ダンジョン資源による技術開発に遅れて、魔法研究所が設立されたことがニュースで発表されていた。
魔法研究所。
リアルに聞くと面食らうワードである。
しかしダンジョンによってもたらされた魔法を研究し、いち早くその知識を利用できるようになることは、世界で覇権を取るのに必須。
国策として研究するための場所を設立するのは当然というべきである。
なんて言ったって超技術である。
開示こそしていないが機械で実行する手段もあり、自動詠唱させるための方法も存在も存在し。
工業的に利用出来ないはずがない。
というか、すでに開示した魔法の中に、金属を好きな形に整形する魔法が存在していて、それが金属加工の分野にさっさと寄越せやと突き上げを食らっているらしいのだ。
金属をまるで粘土のように加工できるが、イメージを固定するのがめちゃくちゃ難しい魔法である。
そのため工業で利用するには機械実行を実現するしか無いのだが。
それを無視してでも、最大精度で元素配置までイジれるのでそりゃあほしいわな。
だいぶ修練が先行している私でも吐くほど集中力を要求するので実用化はだいぶ先である。
魔法研究所には頑張って欲しいものだ。
さーて、ガチャを回そう。
R・クッキークリームサンドリムーバー
出現したのはミキサーぐらいデカい、食品用の機械だった。
やたら分厚いコインを入れるようなシリンダーが上部についており、下部には同形状のシリンダーが3つ存在している。
また電動で動作するのか、コンセントケーブルもついている。
それにしたって食卓の上に置いてあったら切れる大きさである。
フードプロセッサーでもこんなにでかくない、というか。
作りがスマートでないために、余計デカいような印象を受けるのだ。
で、極めつけは?
このクッキークリームサンドリムーバーとかいう、ふざけた名前である。
クッキークリームサンドを
そのためだけにこんなデカい装置を用意してしまうバカバカしさたるや。
というか剥がすだけなら手で取れる。
とりあえず試すために兄のおやつを持ってきた。
束ごと上部のシリンダーに入れると自動で選り分けてくれるらしいのだが。
ミキサー並の音を立てながら、上部のクッキークリームサンドが機械に飲み込まれていく。
中でなにかを切っているような音がして、それが止まると下部のシリンダー3つにそれぞれ、ココアクッキーと内側のクリームとココアクッキーに分離され排出された。
……普通!
やっぱこれ手ではがせるよ!
うまくはがせてないのかクッキーにクリーム、普通にちょっと残ってるしさぁ!
シリンダーに雑にクリーム投下したせいで取り出すのもめんどくさそうだしさぁ。
というか、きれいに剥がすのならナイフで十分だよ!
後日。兄が、くっついてりゃなんでもええんやろ、と言わんばかりに接着した金属板を投入した。
結果、薄くスライスされた金属板が3枚出来上がった。
うん!?
クリームを剥離するためだけにどんだけ鋭い刃を使っているのか。
そして、そこまで鋭い刃を使っておいて、ちょっと剥がしそこねてるのもなんなの?
で、そんな鋭い刃があるなら、って早速解体しようとしてる兄もなんなの!?
やめて!
これ以上面倒事を増やさないで!
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