N ダイスセット
サイコロ。その歴史は古く、古代から様々な形で歴史に存在していた。
特に正6面体で構成されたサイコロはアメリカや中国、インドなど、どこからでも見つかるほどポピュラーである。
その原型は距骨と呼ばれる家畜のかかとの骨であり、投げることでランダムな4つの面を得る事ができる。
サイコロはランダムな結果を得る事ができるということから様々な宗教行事に使われることもある。
最も、一番多いのは賭博だろう。ランダムな結果が得られるものならやはりなんでも賭博にできる。
今回はそのサイコロが出た話だ。
ここ数日は兄が外出しており、ガチャを引くこと無く心穏やかに過ごせていた。だがそれは一時の静寂に過ぎず、兄が帰ってくることで終わった。
まあ当然のことである。兄がいればガチャを引く。いなければ引かない。ただそれだけのことだ。
回すことに心をかき乱されている時点で敗北なのだ。心頭滅却心頭滅却。
なんでもないなんでもない。
というわけで回す。
N・ダイスセット
見た感じ無難な物が出てきた。ダイスセットだ。透明なケースには12個ほど入っており、いくつかは見たことがない形状をしている。
なんだこれ……。
輪っか状の形をした1面サイコロ。メビウスの輪に似た形状をしており、投げても必ず同じ面が出るという。凝った作りだ。
2面サイコロ。これはただのコインだ。
6面サイコロが6つほど。ただ、なぜか何回か振ると時々7の面が出る。
正12面サイコロ。こういうサイコロがあるとは聞いていたが実物は始めて見た。
同様に正20面体サイコロも入っている。
あと変なのだと24面体か。数字も書いてないしなんだこれ。
まあそれよりも、だ。とびきり意味がわからないやつが一つ。
3面体サイコロ。
なんで成立しているのか全くわからない。どう見ても3つの面を持つサイコロなのだ。でも、そんなのは数学的にありえない。
どうなってるんだ?
ぱっと見た感じは三角形に近いサイコロなのだが、手に持って回してみると形が変動して見える。
変形しているように見える、というわけではない。錯視のように形が変わって見えるのだ。
しかし親指で面を抑えて見るとどうにもすべての面は均一な大きさであるようだ。
全く訳がわからない。
後日、兄が3面体サイコロを使ってソーシャルゲームのガチャの排出確率を操作する方法を編み出していた。
流石にただのオカルトだろう。
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