第90話 徴兵された人々
現在僕達は円卓会議みたいな事をしている。
みんなでそれぞれの意見を言い合いながらも、いくつもの道を見つけてようとしている訳だ。
口を開いたのは、ドワーフ王だった。
「人間達の事を考えていなかった。よくよく考えれば、ナーポレノン国王が悪い訳であって、民が悪い訳ではなく、貴族達が悪いのであって民が悪いわけではなかったのだ。全ての貴族が悪い訳ではないとも思う」
次に口を開いたのはティネネ女王だった。
「両親がまだ奴隷として魔力を引き出され続けているのかもしれない、それでも、人間を許す事は出来ません、人間の全てに怒りを覚えているのです」
次に口を開いたのはヴァンパイア族のドンスコだった。
彼は顎に手を当てながら考えている。
「それがしも元はと言えば人間に近いものなのかもしれない、それから言わせてもらおう、徴兵された人間は助けるべきだ。ここで彼等を見殺し、または殺したりすれば、その輪廻は周り続ける。ディン王国に徴兵された兵士達はそれがし達が殺すのであって、その家族の恨みはこちらにくる、その恨みを持った彼等はきっとそれがしたちを滅ぼすだろう、恨みの根は止めておく必要があるのじゃよ」
その場の全員が黙っていると。
僕は脳内作戦モードを開始した。
自問自答を繰り返しながら、色々な考えを取捨選択しながら、沢山の事を考えながら、それでも結果が見つからないのなら、もっと考えればいい。
現実の世界のアイテムで何か無かったのだろうか?
色々と考えても埒があかないし。
「演説等はどうでしょうか? 徴兵された兵士たちは即刻こちらに寝返るべしという、ネタは君たちの家族は保護した等はどうなのでしょう?」
「うーむ」
「そうじゃのう」
「ですがな」
「なにか」
「決め手にかけるというか」
その場の全員が僕の発言ではまだ何か足りないという感じのようだ。
僕は困り果ててしまいつつも。
「それに徴兵された人は実は違ってとかもありえるしのう、スパイらしく色々な事をかっちゃきまわし、最悪人質を取られるかもしれない」
「うーむ」
ドワーフ王の発言に、その場の全員が頷く。
どうやったら徴兵された人々を助ける方法があるのか、それが見いだせずに、みんなが必至で考えていた。
「して敵の兵力はどのくらいなのじゃ」
「そういえばそれは聞いていなかった。テクスチャ、どのくらいなんだ?」
「ざっと1万の歩兵と2千の騎兵です。弓兵が5千おります。すべて大体の計算です。それと自分は見たことがないのですが。5柱なる物がいるらしく、5人の最強な種族だそうです。ディン王国から取れるカフートで使役しているとされる化け物達の集団です」
「なるほどなぁ、それもあるかぁ、では最終決断として、票を取ろうと思う、1ずつ述べてくれたまえ」
最初に述べる事となったのは、エクスバン国家のドワーフ王だった。
「ドワーフはこの戦争に加担する。それは奴隷を解放するという目標の為じゃ」
次にこほんと咳払いしたのはエルフ女王のティネネ女王であった。
「わたくしめも今回の戦争に加担いたします。なぜなら奴隷を助けてくれと願ったのは他でもないこのわたくしめ達なのですから」
最後にウルフ族、ヴァンパイア族、魚人族、その他の種族を代表して。
「俺様は戦争に賛成というか避けられないだろう」
「それがしもじゃ、この牙がうなるぜいい」
「ふん、魚人の強さを見せつけてやろうじゃいのさ」
「では戦略会議を始めようと思う」
それから僕達はどうやって敵の軍勢と戦っていくかを相談しあった。
僕はハンドガン、マシンガン、バズーカを惜しげもなく使う気満々である。
このハンドガンとマシンガンには殺傷能力はあまりない、これで徴兵されているか分からない兵士を片端から気絶させていこうと思っている。
この戦略で色々と決められたのは、徴兵対策がでかかったお思う、出来るだけ殺さないという方法を取ればこちらが殺されるだろう、なので殺すぎりぎりの気絶させるぐらいに攻撃を当てさせ、気絶させた兵士を片端から牢屋にぶち込んで治療するという方法。
そうすれば敵のスパイであろうとなかろうと分からないけど、
なんとかなると思うとその場の決議は決まった。
村に牢屋を設置する為、ドスンバンさんが働いてくれるし、さらに櫓程度ならとトンボ団長が動き出す。
性格には一般の大工さん達が櫓をつくり、そこにトンボ団長のドラロボにて運ぶという方法だ。
ある程度の戦略会議が終わると、僕達は別れを忍びつつ、それぞれの道から村まで兵士達を募ってくれるそうだ。
それまでに準備万全にしなくてはいけないと、僕は思っている。
もう時間はないのだから。
なのでテレポート装置で村に帰宅する時も、皆にこりと会釈したものだ。メイル姫とマカ姫がなかなか離れなかったのは誤算であったが。
村に戻った僕達はそれぞれが出来る事をする為に動き出した。
ネンネがこちらにやってくると、
微笑んでくれた。
僕は彼女を抱きしめると。
「戦争が始まる。一杯人が死ぬんだ」
「はい」
「君には別な所にいて欲しい」
「それはいりません、わたしは最後まであなと一緒にいる事を誓っているのです」
ネンネを見つめて微笑むと、僕は走り出した。
迷いなどない、すべてが本当なら、迷いを抱いている者こそが負けだ。
現実世界の扉まで走り、岩陰の隙間に入ると、現実世界に飛び込んだのだ。
それが僕の決意なのだから。
――――――――――――――
村【異世界】→巨大倉庫【異世界】
――――――――――――――
扉の向こうにはいつもの世界が広がっていた。巨大倉庫の中で1人だけミカンちゃんが新聞を見ていた。それも逆向きで、一体どうやって見るのだろうかと思いつつも。
隣ではコーヒーをちびちびと飲んでいる林介がいた。
僕はそこに問答無用とばかりにやってくると、その場に頭を下げたのだ。
「どうしたんだよ、突然現れて何を申すかと思ったら」
「力を貸してくれ」
「どういうこってい?」
「今僕がいる村はディン王国の襲撃にさらされている」
「そういうこってぃ?」
「なぜそんなにふざけてられる」
「異世界なんてそんなもんさ、戦っては滅び、滅んでは再構築され」
「そう言う事を話しているのではないあそこには沢山の大切なものが」
「だから力を貸せってか?」
「ああ、頼む」
「いいぜ、ぢょうど盾と剣の組織も暇していたところだ。5人のメンバーなら手が空いてる」
「でも林介は入れるとしても彼らは」
「彼等にあちらの世界の魔力を注いだ。人体実験でな、そしたら成功したよ。試しに魔力を注いだネズミを送ったら遅れる事となった。準備は2日くらいかかるけど間に合うか」
「ぎりぎりだ」
「ちょっと待ってろ」
林介は突如メールをすると、5件のメールが届いたそうだ。
「みんな了解したって、異世界は楽しみだから、給料いらないってさ」
「どんな奴等なんだ?」
「まぁ、一言で言えば、変わり者達さ、1人で数千の力はあると思ってくれ、盾と剣の組織はどんだけ異常かってのを見せつけてやるぜ」
色々と目先が見えてきたので、僕はそこに膝から崩れ落ちた。
それを林介が肩をかついで椅子に座らせてくれる。
「すまない」
「いいんだぜ」
「ディン王国を舐めていた。1万の歩兵なんて信じられなかった」
「誰でも予測以下や予測以上の事を考えてしまうのさ」
「なるほどなぁ」
「それと俺も異世界に行くからな」
「いいのか?」
「5人の手下を誰が指揮するんだよヴぁーか」
「そうだったな、はぁなんか色々とほっとしてしまった」
「まだ終わってねーぜ、後2日間もお前は耐えなければならない」
「そうだった」
「死ぬなよ兄貴」
「もちろんだ。兄貴にプレゼントだ」
言われて、沢山のBB弾が入っている物を足されるのであった。
「それを体中に着けておけ、それならハンドガンもマシンガンもバズーカーも裏切らないぜ」
「はは、確かに弾切れが裏切りならね」
「それもそうか、きっと俺達の世界は弾切れは裏切りなんだろうなぁ」
僕は不思議に思いつつ。
その発言を聞いていた。
そして僕は走って異世界に戻ったのであった。
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