第84話 ウィルソン=チート
色々と順調だったので僕は油断しきっていたのだが。
「部屋の数は出来るだけ多くしておきます。教室が1階で5部屋で2階で5部屋で3階で4部屋とそのほかの自習室やら調理室も準備して、職員室も用意して、給食を運べるようにもいたしましょう」
「色々とありがとうございます。ですが、この世界にも職員室やら給食などを作る場所の部屋があったのですか?」
「ふふ、この世界には貴族達が通う学園と言うものがありますが、ある1人の人間が普通の人間にも学園を作るべきだといい、学校を作る事をディン王国の王様にお願いして、却下された人がいした。それがしは彼からそのような活用方法があることを色々と教えて頂きました」
その時僕は真っ青になる。
次に希望が連なりだす。
きっと親父だ。
親父がこの世界にいる。この世界で何かをしている。
そして親父は戦っている。
「それなら僕も戦わねば」
「はは、どうやら知り合いでしたか」
「まぁそんなところです」
「ではこちらは勝手に建設しますので、手出しは無用です」
「一人で大丈夫なのですか? 誰かお手伝いとか」
「いえ、魔法を使います。それがしの建設の仕方はドワーフのような武骨な方法ではなく、魔法で緻密に計算するのです」
「それは良かった。安心して任せられます」
「ざっと見積もって1週間、それくらいで完成します」
「はい、お願いします」
そう言い残して、僕はその場から立ち去った。
向かう先は宿屋なのだが、ウィルソンを探していた。
もう一人はディボンドも探していた。
辺りを見渡し、
村の中を歩くと沢山の村人達が僕の所にきて挨拶をしてくれる。
中には貢物的なものをくれる人がいるのだが、それはきっぱりと断った。
彼等の生活もきっと苦しいのに、僕は貢物を貰わずとも食べ物には困らないから。
そこは断るのがベストだった。
子供達と遊んでいる1人の少年を見つけた。
それが悪ガキ少年のウィルソンである事はすぐに分かった。
ウィルソンはこちらに気付き、友達連中と別れをすませ、こちらにやってくる。
「ようおっさん」
「おう」
「なんか用があるから着たんだろ」
「もちろんだとも、悪ガキ少年」
「ったく、で、なんだよ」
「君に仕事を頼みたいんだ」
「まじか、金くれんのか?」
「おう、たんまりとな、命がけの仕事だ。腰を抜かすようではダメだ」
「もちろんボディーガードをつけてくれるんだろう?」
「それもまだ許可をとっていないが、聞いてみる段階だ。ディボンドだよ」
「まじか、あのおっさんなら百人力だぜ」
「その仕事とはセルフィール国家に向かったり、バラドリ混在王国に向かったり、しまいにはエクスバン国家に向かう交易の品だ。ウィルソン君はこの村である程度馬車にその品を荷物へ積み込み、そして移動する。交易路にそって冒険ができるし、あともう少しすれば、村からセルフィール国家とエクスバン国家の地下通路ができあがる。バラドリ混在王国には2つの国とも木材の道ができているし、山賊連中が守っているから安心しろ」
「山賊が守るって安心できねーよ」
「まぁそこは僕を信じてくれ」
「しゃーねーな、それでいつからだよ」
「大体1週間後くらいだ。その時にはきっと道はできている」
「よっしゃ、それまで色々と教えてくれよ、交易のノウハウってやつをさ」
「おう、任せな、あとウィルソン君は馬車を扱えるか?」
「そんなの常識だろ」
「じつは僕は使えないんだ。だからそこは教えてあげる事ができないけど、問題ないようだね」
「ったくこの村の村長の夫ともあろう男がそれでいいのかい」
「はは、ってかそこまで届いているのか夫と言う話は」
「だってさっきネンネが言いふらしてたぞ」
僕は頭を軽く押させつつも。
「あと闘技場の件だが少しまってもらっていいか」
「なんでだよ」
「大工さんの目途はたったんだけど、先に学校を作る事になった。まだ大工さんというかドスンバンさんには伝えてないんだ闘技場の事を」
「ふざけるなよ、まぁ仕方ないけど」
「学校を建設する事に集中してもらいたいんだ」
「なるほどね、それなら仕方ないよ、僕はヒロスケの言う事は間違いがないって思ってるんだ、だから信用するよ」
「それともしもの為にウィルソン君を強くさせようと思うんだ」
「なんだ? 修行でもするのか」
「このポーションを飲んでくれ」
魔力操作の極意、体力操作の極意、スピードアップの極意=ポーション
「この魔力操作って俺様魔法は使えないぞ、体力操作はすごくいいけどこれチートじゃん、スピードアップの極意って、これもチートじゃん」
「だから君に飲んでほしいんだよ」
「しゃーねーな」
するとウィルソン君は【魔力操作の極意】【体力操作の極意】【スピードアップの極意】のポーションを栄養ドリンクのように、ごっくんごっくんと飲み干した。
「すげー力がみなぎるぞ」
ウィルソン君は目の前からいなくなり、僕の後ろに立っていた。
「見えてねーだろ」
「すげーな」
「右手と左手でビックバンてか?」
右手に光のエネルギーを左手に闇のエネルギーをそれを合わせて、地面にどっかーーーーんと一発いってしまった。
そこら中に地響きが鳴り響き、村人達はパニックになった。
「やべやりすぎた」
「すごすぎだから」
当たり前のツッコミに、僕はある事に気付いていた。
このポーションたちは一度現実世界に行っている。
という事はそこで普通ではなくなり、こちらに戻ってきた。
さらに普通ではなくなり、それは異常事態に。
僕はとんでもない事をこの村の少年に施してしまったのではないだろうかと、恐怖を感じたものだ。しかしそれは頼もしさに代わり。
ウィルソン君ならこの仕事をやり遂げてくれる。
そう信じられるようになってきた。
あとはディボンドに護衛役をお願いする事と、ジービズにセルフィール国家、エクスバン国家、バラドリ混在王国の共同製作プレジェクトは道が完成してから、つまり1週間後であることを告げに行かねばならない。
そのほかに仕事はなかったかと、色々と振り返るのだが、僕もメモ帳をもったほうがいいかなと、ジョークまじりに思っていた。
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