第74話 問題解決
僕は食器を用意してくれたネンネに感謝しつつも、テクスチャとトンボ団長はわくわくドキドキモードになっている。
まるでおっさんと爺さんが赤子に戻って、美味し料理を待っているかのようだった。
大体のレトルトカレーが温まると、レトルトカレーの中にご飯が入っているタイプだったので、僕はネンネが用意してくれた食器に盛る事に、しばらく味わっていない日本のカレーライスの臭いが鼻に漂ってきた。
僕はごくりと生唾を飲み下し。
僕とネンネとテクスチャとトンボ団長に配る事にする。
全員が待ったと言われている犬っころのように、待ち続け。
僕がどうぞと呟くと。
ネンネ、テクスチャ、トンボ団長は、無我夢中で食事を始めた。
5分足らずでみんなそれぞれ食べ終わった。
僕も日本製のカレーライスの魅力にもう一度浸かりそうであった。
「うんめぇええええ、こんなの味わったことがないぞ、ヒロスケ殿の世界にはこういうものが沢山あるのですか?」
「そうだよ、テクスチャ」
「これは交易の匂いがいたしますが」
「それも考えてる。でも今はこの村の備蓄品にしたいんだ」
「なるほど、先を見据えておりますねぇ」
テクスチャがこくりこくりと頷く。
「一度皆の者に振る舞うのもいいかもしれぬなぁ、皆の士気が上がると思うぞい」
「トンボ団長の意見はもっともです。今検討をしているのです僕の世界の食品を運ぶという事を」
「それはすごく楽しみだわ、宿屋料理のレパートリーが増えそう」
「ネンネは料理ができるんだったよな、僕の世界の素材をきっと持ってくるよ」
「うん、お願いね」
僕とネンネはいつしか見つめ合っていた。
ごほん。
すぐに正気に戻してくれたのは、トンボ団長だった。
「さて次は何をいたそうか」
「問題が沢山あるんだ。トンボ団長には申し訳ないが、数名を割いて闘技場の設立を進めてほしい」
「なるほど、人々の娯楽の場を作るという事ですな」
「その通りだ。それと食料を沢山持ってくる予定だけど、ディボンドとネンネが担当して欲しい、ディボンドにはすでに知っているはずだから大丈夫だ」
「はい、任せてください」
「大量の家電製品も持ってくる予定で、現在のこの村の人口は100名を少し超える人数だっただろう?」
「そうです。今も増え続けており、近隣の村または街から逃げてきた人々ばかりです。この調子で保護していると面白く思っていないディン王国が動くかと思われますが、意外とこの国外れの村には目を向けていないかもしれません」
テクスチャの冷静沈着なセリフ。
「だが、リンゴーンの件でバレるのは時間の問題だ。トンボ団長準備を速めてくれ」
「もちろんだ。なら闘技場を後まわしにしてもいいか?」
「その方がいいだろう、地下設備を整えつつ地上の要塞も作る。さすがに10名のドラロボと少年ドワーフでは時間が必要か?」
「ふ、愚問じゃわい、ドラロボの1機の力は人間の100倍になる。出来ないという発言は絶対にしない、まかせろ、10人とわしで地上の要塞も地下の道を作ってやるぜ」
「頼もしいな、色々と苦労をかける」
「気にするでない、これはこの世界独自の問題だと言っていいだろうなぁ」
「だが僕はきっと巻き込まれなくても、自ら巻き込まれる方向に行くと思うけどなぁ」
「きっとヒロスケにはそれが当たり前なのよ」
ネンネと僕はまた見つめ合っていると。
「ごほん」
次はテクスチャが乱入してくると。
「そ、そうだ。子供を預ける問題、そしてこれは付け足しだが教育問題について相談してきたい奴がいる。ちょっくら現実に戻って来る」
「了解しましたです。入り口まで見送りましょう」
「わしもじゃと行きたい所じゃが、わしは工事を手伝いに行こうと思う」
「わたしもヒロスケを見送りたい」
――――――――――――――
村(宿屋)→巨大倉庫(現実)
――――――――――――――
僕はテクスチャとネンネに見送られて、また現実世界の巨大倉庫に戻ってきた。
「うお、戻ってきたぞ、すっかすかさん! おじちゃんが戻って来ましたああああ」
「おうおう、うるせーよ、毎回すっかすかと呼ばれるこっちの身にもなりやがれ」
ここまで来るのに武装車両で移動した。
あちらの世界に武装車両(戦闘車両)を置きっぱなしにする訳には行かないので、フェイブマックスXと一緒にミニチュアボックスに入れる事とした。
「今回手に入れた素材をとりあえず渡しておくよ」
「おう助かるぜ」
――――アイテムリスト――――
1スライムジュース
2ゴブリンの人形
―――――――――――――――
極意のポーションは自分の為に取っておく事にした。
時のゴーレムと時の変形ゴーレムの設計図を渡そうとすごく悩んだ。
この設計図を渡す事により、盾と剣の組織の武装が跳ね上がるだろう。
はたしてそのような事をすべきなのだろうか?
それにスパイとかがいて、設計図を盗まれたら終わりだし、
悩み所ではあるが。
ともんもんと考えていると。
「兄貴、隠し事してるだろ」
「ぎく」
「はは、やっぱりな、兄貴はいつも秘密事をする時、いつも頭をぽりぽりと掻いている癖があるんだ。ガキの頃から知ってたさ」
「そうか、林介に少し相談がある」
「おじちゃん、すっかすか、コーヒータイムにしようよ」
「ミカン、ナイスだ」
「えっへん」
林介に褒められた事がとても嬉しいようだ。
小さい小学生に見えて、彼女は中学生なのだから。
僕と林介は結構前に改修工事で広くなった研究施設にて、僕達はめちゃくたちゃ旨いコーヒーを飲んでいた。
「なぁ、林介1ついいか?」
「俺もすげーなぞだ」
「「ミカン! このコーヒー激うまなんだけど、こんな入れかた教えてもらってない」」
「ふっふ、この入れ方はおじちゃんと林介さんのママから教えてもらいました。ママさんはすごく料理が旨いです」
そういえば最近お袋の料理を食べていなかった。
お袋の料理天下一品だという事を忘れていた。
「は、はは」
林介は不気味に笑っていた。
「でだ。兄貴は何を隠しているのだ。白状したほうが楽だぜ」
まるで取調室で取り調べを受けている容疑者の気持を理解してしまった僕は、にやりとほくそ笑む。
「盾と剣の組織は信用している。いろいろとインターネットで報道されているし、専門家の人も盾と剣の組織は正義のテロリストなんて言っている」
僕は結構前から盾と剣の組織の情報を知っていた。
まさかリーダークラスの人間の1人に弟がなっているとは思っていなかった。
盾と剣の組織にはリーダーはいるが、結局は1人1人の主張が優先される。
独裁組織ではなく、
みんなで協力して大きくしていく組織であり。
時たまリーダーが生まれるというだけなのだ。
「なぁ、林助よお前は今から莫大な力を得ることになるだろう、その結果沢山の人々が死ぬかもしれない、最悪もっと死ぬかもしれない」
林介はこちらをじっと見て。
「それでも力は欲しいか?」
悪魔のような囁きに、
林助は悪魔のような笑みで答えた。
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