第61話 魔法書秘技書

 1人は本をちらリズムで見ている人物。

 1人はタバコをなぜか1本吸ったのに箱1箱消費する人物。

 しかもタバコは2分で1箱消費する無駄遣いの弟をじっと見ている僕。


 まぁ僕たちの懐はとてつもなく深いから問題はないんだろうけどさ。


「魔法はどうか分からないけど、剣術とかの秘技書は使えると思うぞ」

「剣と盾の組織のメンバーにか?」

「その通りだ。彼らを鍛えればより多くのテロリストを捕まえる事が出来る。そして孤児も餓死もそして暴力の差別のない世界を作れるはずなんだ」


「その通りだなだが、本当の平和とは何かなんて誰にも分らないよ、戦争を起こす事により平和になっている国だってある。戦争で被害にあっている国はもちろんある。奴隷で一儲けした人々は裕福になる。裕福になると、色々なものが欲しくなる。そのエンドレスなき繰り返しで、沢山の人が不幸になり、沢山の人が幸福になる」


「俺はそのバランスを崩す。ヒーロー集団によってな、いつか、またいつか今の現状が落ち着いたら兄貴を誘いたいんだ。盾と剣の組織に」


「ああ、その時はグリーンヒーローで頼むよ」

「ああ助かるさ、そういえばさ兄貴はなんで魔法書も秘技書も学ぼうと思わないんだ?」

「ああ、僕も最初の頃は時間を作って学ぼうと思ったんだ。だけどさ、僕には僕の戦闘スタイルがあるって事に気付かされたんだ。僕の戦闘スタイルはグリーンヒーローさ」

「兄貴、それは正しい判断だと思う、昔親父が言っていた。1つの道に絞ると制度が高くなると。沢山の道に視野を向ける事も大切だけど、時としては、1つの場合が合うやつがいる。それがまさに兄貴だってさ」


 父さんと呼んでいた時期もあった。親父と呼ぶ時期になってきた。

 その親父が僕の事を少しは考えていてくれたのだと思うと。


 とても悲しくなってくる。

 親父、あんたは異世界のどこにいるんだよ。


 その時だった脳裏によぎったのは。


「そういえば、林介は異世界に行った事があるんだったよな」

「ああ、あるよ」

「ってことはあの異世界はこちらからの人なら誰でも入る事が出来るという事なのか?」


「そうでもないみたい、血筋が関係しているんだってさ、親父の血筋が異世界に入れる血筋らしくて、色々と血筋が分かれてるから、他の人で入れる一族はいるかもしれないってさ、俺が遺跡にいったときは高校生くらいの時で、あまり馴染めなかったよ」


「そうなのか、なぁ親父は本当に死んだのか?」


「またまた死んでるでしょ、遺体だって燃やされて骨になったんだから」

「あれが魔法とは考えられないか? 僕は奇妙な映像を見せられたんだ」


「それは?」

「親父が分身魔法を使って、しかも実体のある分身で、その分身を殺している映像だ」


「ま、まさか、確か俺たちの墓ってさまだないから、仏壇にあるよな」

「ああ、気になるな」


 僕と弟はどたどたとリサイクルショップ(でんでん)に入ると、

 母親がこっちを見て。


「どうしたんってんだいいい」


 とかいいながらなぜか大根をもって追っかけてくる。


 僕と弟は仏壇に到着すると、


 骨壺を発見する。

 それをゆっくりと開くと、

 弟は驚愕の表情でこちらを見ていた。

 それがどういう事を意味するのか、弟は涙を流していた。

 男泣きのように格好良く泣いていた。

 

「兄貴、親父生きてる」


 僕は骨壺を見た。

 そこには骨が何もなかったのだから。


「まったく親子そろってバカなんだから」


 そこにお袋が参上した。


「お袋知ってたのか」

「あったり前でしょ、あたいと狼介さんは異世界からこちらにやってきた、特別な人種なんだから」

「な、なら僕と林介も特別な人種なのか?」

「そうね、遥か昔、勇者と村娘が結婚してできた子供たち、それがあたいたちなのよ、あたいと狼介さんは血筋が近いけど一応離れた血筋だった。だから結婚は反対される事はなかったけどね、だからね、あんたたちには現実世界の血もあるのよ」


「そう言う事だったのか、だからあの扉は異世界人には見えないのか?」

「その通りよ、1つ注意するなら、現実世界の血筋がある人には見えるってこと。そして逆を言えば、現実世界から異世界に行くには異世界の血が必要なの、だけど魔法書とか秘技書とか伝説の書とかを呼んで理解できるのも両方の世界の人間の特権」



「なぜ、そういうややこしい事に」

「遥か祖先の勇者様が争いのないように作ったシステムらしいわ、あたいと狼介さんはそれを守る守り人みたいな存在ね、さて、あたいは仕事があるからね、いつも通りリサイクル品は適当に出しとくから、勝手に使いな、もう気をつかって金なんていらないからね」


「か、母さん」

「今までありがとう」

「笑いなさい」


 母さんがにかりと笑って僕たちが向かう道を示してくれた。


 僕と林介は巨大倉庫に戻ると、まずまとめに入る。


「兄貴と俺には異世界の血がある。だから魔法とかを使える可能性がある。だからと言ってこちらの世界の人が魔法を使えない原理ではないという事から、俺は盾と剣の組織のメンバーに魔法を覚えさせようと思う、兄貴は反対か?」

「僕は全然反対じゃないよ、それが林介が抱く道」


「なぁ兄貴、俺は現実世界でぼろ儲けして皆をハッピーにさせるぜ」

「なら、僕は、異世界で争いをなくし奴隷を解放しまくってハッピーだぜ」



 僕と兄貴は腕と腕をからませて決意の表明をした。


「あとバラドリ混在王国の交易品があるからね」

「わ、忘れていたぜ兄貴」


 僕の脳裏には【狼笛】【ミニチュアボックス】【無限呼吸の指輪】の3つのアイテムの事が想いうかんだ。つまり車とかそういったものをあちらの世界に渡せる可能性があると、それだけで僕はワクワク感が止まらないのだ。

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