第62話 幻想SFになりそう
最初に提示したのは【狼笛】だ。
「これってさ、狼を呼び寄せる事が出来るんだろうな、やってみて良いか?」
「り、林介、ちょっと待ってくれ別な場所で使ってくれ、手稲の街の中で巨大な狼が出現したらシャレにならないし、笛を吹いた人の度量で数と質が変わってくるそうだ」
「なるほどな、これは兄貴が持っておくべきだ」
「いいけど、いらないのか?」
「この日本でそのようなびっくりショーを使う人がいたら、実験台にされるよ」
「それって嫌味か? 僕がグリーンヒーローだから?」
「そこには頭が回っていなかったすまない」
「まぁ僕の場合は実験台と刑務所行きのような気がするけどね」
「そうはさせないさ」
「まぁその時はよろしくな」
「で、次は?」
「次は無限呼吸の指輪だよ、この指輪をはめていると、ずっと水の中で呼吸できるんだとさ、魚人の国に行ってみたいからこれは僕が持っていていいかい」
「当たり前だ。というか全部兄貴が持っていた方がいい」
「それならそうさせてもらうよ、必要なものは渡すけど」
「まぁマジックアイテムみたいな物は俺が持たないほうがいい、俺から奪っていくやつがいるからだ。奪われるのなら異世界のほうがいいだろ?」
「それもそうだな、手稲区に無限呼吸できる超人が現れましたとかなりかねないよな」
「はは、まじでな」
「では最後に参ります」
「おう」
「最後はミニチュアボックスだよ、大きな物をこの小さな箱に吸い込むように入れる事が出来るんだよ」
「つまり車とかをこの小さな箱に入れると小さくなるという事だな」
「そうだ、林介、僕だけだろうか? このトキメキは」
「ああ、兄貴、それは当然のトキメキだ」
僕の脳内で繰り広げられる中二病心が反応している。
つまりこの箱に車を入れて、異世界に持って行く事が出来れば?
すごい事にならないだろうか?
わくわくと楽しみがつのり、
「という事で実験をしてみまーすいえーい」
「いえーい」
「いえー」
「「って誰えええええええ」」
そこには虐待されて死にかけていた少女がいた。
「退院したけど、孤児院に行ってさーそれからヒーローがいる所まで走ってきたんだけどさー場所は聞いてたからさー意外とすぐに着いたけどさー色々と試行錯誤してさー年齢くってるおじちゃんがグリーンヒーローでしょ、臭いがするから」
「体臭!」
「兄貴、そろそろ考えてくれ」
「林介だってするだろ、なぁ君」
「このおじちゃんはタバコの臭いですっかすか」
「す、っかすか?」
「臭いが終わってるってこと、だからくさいヒーローの方がかっこいい」
現在僕と林介はノックダウンされたかのように、地面に両ひざをついて、土下座スタイル一歩手前状態になっている。
「君名前は」
「おじちゃんはうちに謝らなくてはならない、なぜならこの場所の事を(でんでん)ではなく(ほのぼの)と教えたから、結構探すの大変だったけどおじちゃんの臭いがなければ分からなかった」
「それはすまない、あの時は君をほのぼのさせたくて考えていたら、間違って伝ったようだ」
「いいよ、おじちゃんはうちの命の恩人だからねぇ、おじちゃんの名前も教えて、そっちのすっかすかも」
「いいよ僕はヒロスケだ。そう呼んでくれ」
「ええヒロスケ、次は?」
「てか兄貴を呼び捨てかよ、まぁいいけどさ、それ以前に俺の名前がすっかすかとはどういう事だよ」
すると少女はこちらを見て、次に林介を見てぷっと笑って見せった。
「このがきやああああ」
林介が切れたので、僕は両腕で取り押さえることに。
「ぎゃああ、とんでもないパワーで肩が脱臼しそうだあああ」
僕は手の力を抜いているつもりであったがそれでもとんでもないパワーだったのだろう。
「はぁはぁ死ぬかと思った。俺は林介だよろしくな」
「うちはミカン、蜜柑という果物と同じ字なの」
「ではミカンちゃんここから先は大人の仕事だから着た場所に戻りなさい」
「すっかすか黙れ」
「きやあああ、ってまて兄貴やるな、死ぬぞこっちは」
「すまんすまん、林介どうだろう巨大倉庫の番人として雇うのは?」
「それはいいかもしれないけどさぁ、俺だって毎回毎回こいつ世話できねーぞ色々なアイテムの実証やら実験やらでな、さらに盾と剣の組織のメンバーの統率もしないといけないし」
「1人だけこの事について事情を知っていて最近ネット販売で暇人になった人がいるだろう」
「お袋かよ、お袋確かに女の子育ててみたいって」
「そこで林介の隠し子という設定にする」
「無理だろ、俺もてないし、今でも独身だし、その分兄貴だってモテるだろ」
「いえ僕も持てませんが何か?」
「「作戦却下で」」
「ふーむ、それならどうしようか、拾ったにするか?」
「猫じゃあるまいし、お袋暴れるぞ、息子2人が少女誘拐したって」
「ミカンちゃん君はどうしたい? その預けられる場所に行くべきなのか、ここにいるべきなのか」
「うちはここにいたい、絶対にいたい」
「わったよ、なら大人の事は大人に任せなさい、孤児院の名前を教えてくれてもいいかい?」
「何をする気だ? まさか孤児院を襲撃するつもりか」
「大人の世界には汚いマネーがあるだろう、ぐふふ」
「ミカンちゃんこういう大人になったらダメだぞ」
「はいですおじちゃん」
「では林介、孤児院買収計画の前にやることがあるだろう?」
「そうだな、幻想SF化計画と呼んでれ、ぐひひ」
「一体おじちゃまとすっかすかは何をするつもりなの? わくわく」
「まずそのすっかすかはやめてくれ」
林介が呟くが。
「すっかすかは何をするつもりなの? わくわく」
「もう諦めた」
「でもさ僕たちって林介の車以外だと僕の車は却下で、親父の車でやってみないか、僕も林介もこの世界に1台は車が無いと困るだろう?」
「だな」
僕と林助は大きな巨大倉庫の隣に四角い車庫があるのがある。
それが親父の車だった。
車庫のシャッターを開けると、電気を使ってゆっくりと開いていくのだが。
ぎいいいいという断末摩が響くのが、年代物さをアピールしていた。
そこに現れたのは、なぜか親父の車の武装車両で。
普通の車よりハイテクなものであった。
「なぁこれ知ってた? 林介」
「お、おやじはんぱじゃねーよこれ、最先端だよ、親父何者おおおおおお」
車の上に手紙が置いてあった。
僕と林介とミカンちゃんがわくわくしながら手紙を開けると、そこには。
【ふふふ】
としか書いてなかった。
「ぎやああああああ」
「親父イタズラ好きだったあああ」
「気持ち悪いです。すっかすか」
騒ぎ喚き、僕たちはその武装車両を手にいれたのであった。
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