第50話 道完成とそれを悪用する者

 まず巨大大樹の2本の木は結界魔法らしき物が張り巡らされている。

 そこを出ると、そこには木材で出来た木々の道があった。

 その道は僕の世界で言う所によると2車線の道路そのもので、コンクリートが魔法の木材になっているだけのようだ。


 作り方は厳重で、教えを守ってくれている。

 ほっとしつつ歩き続けていると山の天辺に向かうようにして木々の道が突き進んでいた。


「それにしてもメイル姫も沢山の異種族さんたちも頑張ってくれたようです。マカ姫もですね」

「そうだね、道は2本に分かれている。右かセルフィール国家だし、左がエクスバン国家だよね」


「その通りだドルゴン、以外と地理を覚えたのでは?」

「まぁ暇な時に色々な異種族の人たちが教えてくれたよ」

「それはよかった。友達でも出来たのかい?」

「ああ沢山友達がでたきんだ。とっても嬉しかったよ」

「それは良かった」 


 会話をしながら僕はフェイブマックスXを軽くスピードを落として運転している。

 ドルゴンは僕のバイクのスピードに合わせてくれるからとても助かる。

 バイクの荷台にはこれでもかと荷物が積み重なっている。

 アイテムボックスがない世界で、常に沢山の荷物を運ぶ仕事はとても大変だ。

 フェイブマックスXのようなバイクがあって助かったけど、

 もっと荷物が増えると困る。

 何か大きな荷物を運べるものがあればいいなとは思っている。

 案としてはトラックみたいなものを持ち運ぶこと。

 

 現実世界でミニチュアボックスが活用できる可能性がある。

 ミニチュアボックスにトラックを収納し、こちらの世界で取り出すというものは。


 僕とドルゴンは移動しながら、くっちゃべっていたのだが。

 目の前に明らかに問題のある人々がたむろしていた。 


 それも1人や2人ではない、20人くらいはいただろうか、

 彼らはこちらを見てにやりとほくそ笑む。

 普通だとドラゴンを見て逃げるのだが。

 先頭には巨大な武器を持っている顔に大きな傷ができたおっさんがいた。


 20名の雑魚と1名と強者。


 僕とドルゴンはそこで停止する。


「おめーら荷物を置いていけ、そのみょうちくりんな乗り物もだ。そうだな、お前らの態度によっては衣服まではとらねードラゴンはダメだ。殺す、そのあと素材にする」

「あのう非常に言いにくいのですが、あなたたちを放って置く訳にはいきません、なのでここで殺されるか抹殺されるか消去されるかお選びください」


「はぁああ? そこの青二歳のおっさんがなにいってんだ。こっちが見てわからないか? ドラゴンスレイヤーだぞ、この剣だってなぁドラゴンソードでな」

「はぁ? 言葉が分からないのですが? 僕は言っているのです。僕たちが一生懸命作ってきた道を、あなたは土足にも上った。それだけなら許すが、それを利用して山賊行為をしているではありませんか」


「うるせい、ここは俺達の住処だ、なぁあ? 野郎ども、こいつをめったんめったんにしてやれ、ドラゴンが来たら俺の番だ」

【へいお頭】


 そういって山賊たち20名がこちらにくる。


「ドラゴンスレイヤーがドルゴンにどの程度効果的なのか不明だ。だから君は荷物を守っていてくれ」

「うん、わかったよ、やっぱりヒロスケはすごく強くなったみたいだ」

「みたいじゃなくて、強くなっているのさ」


 僕は指を天に突き刺すように上げる。

 別にこんなポーズをとらなくても、

 変身はできるけど、目の前のむかつく山賊たちを驚かせるつもりでやると、

 山賊たちはびくりと反応した。


 そして指を地面に刺した瞬間、 

 変身が発動、 

 全身が緑色になる。

 ヘルメットとスーツが一体化している全身が緑色、  

 緑色のマントまで出ている。


 周りの山賊たちはこちらをきょとんとして見ていた。

 爆笑の渦がまきおこった。


「変身魔法か、珍しいけどはずかしいぜぎゃははっはは」

「今の時代に変身魔法使う奴いるのかよおおおあっはっはっはは」

「ばかだ、相当な心が痛い奴だ」


「笑えばいいさ」


 僕は一歩ずつ悠然と歩いている。20名の山賊たちに囲まれると、

 彼らはげらげら笑いながら、それぞれの槍でこちらをつっつく、

 しかし思ったよりスーツが硬かったようで、びくともしない、槍を捨て剣に持ちかける。

 

 だが僕はマッスルポーズをとってバカにする。

 

 山賊たちの精神はぶちぎれそうになりながらも、剣でこちらをめった刺し、だがびくともしない。

 全身を包んでいる緑のスーツにより隙間すらもない。


「うそだろ」

「ええい、てめーらふぜけてんじゃなーーい」


 そう言ってドラゴンスレイヤーの男が跳躍すると、僕の前に飛来、次の瞬間、ドラゴンスレイヤーの剣が僕の頬っぺたをぶん殴る。

 ただそれだけ、


 僕はぺっと口からつばを吐きだし、


「次はこちらの番だ」


 ヴァンパイア族長のドンスコさんから教わった事、沢山の色々な事を勉強させてもらった事。


 拳を固める。

 一瞬で20名の山賊達は腹を押さえて倒れる。


 ドラゴンスレイヤーの男は何が起きたか理解できないようだ。


「てめーらを1人1人大切にお腹をぶん殴らせてもらった」

「嘘を言うなお前は止まっていた」

「そうだね、結構本気だしたからさ」

「ま、まじなのか、う、うそだ。ば、ばけもおだあああああああ」



 ドラゴンスレイヤーの男を顔面からぶん殴ると、

 まるでアニメのように遥か山の向こうまで飛んでいった。


「あれ死んだな」


 隣でドルゴンがお祈りを捧げてくれていたのだろうか?


「か、勘弁してくれ、旦那俺たちは、これ以上は戦えない」

「い、命だけは」


「君たちさぁなんでこんな仕事してんの?」

「え?」


「だから金にならないでしょこんな仕事」


「そ、そうだけど」


「そうだ。いっその事ここは僕が雇ってあげるかい?」

【う、うそでしょおおおお、旦那は身ぐるみ剥ごうとした俺達を更生させてくれるのか?】

「更生もなにも、君たちは仕事がないからこういう事しているわけで、楽したいからとかじゃないでしょ? だって山賊だって楽じゃないもん」


 するとその場にいた山賊たちは目頭を押さえると、

 嗚咽を漏らした。

 1人また1人と盛大な鳴き声をだ。


「今から兄貴と呼ばせてください」

「兄貴。俺たちの兄貴だ。あのドラゴンなんたらの兄貴はどうでもいい」

「そうさ、俺達の兄貴だああああ」


「落ち着け、まずは仕事を提供するのに契約とかが必要だ」

「おお、兄貴はちゃんとこんな俺達にも契約書を作ってくださるおかだだぞおおお」

「落ち着け、エクスバン王国に行ったん移動するから、ついてこい」

【もちろんですすうううう】


 山賊たち20名はそれぞれが立ち上がり、

 嬉し泣きをしながら、歩きつ続けると。


 木材で作った道は山の天辺に到達していた。

 両端には壁があり落下防止となり

 1人の男が倒れていた。


「あいつは」


 僕はそいつを叩き起こす。


「ううう、夢夢じゃねええええ」


「落ち着けドラゴンスレイヤーの男」

「うるせい殺すぞてめーらはなんで下僕みたいに」

「この方は新しい兄貴だ」

「裏切ったなあな」

「君を雇いたい」


「はおああああああ」


「君のその統率力を見込んで20名の山賊の統べてくれ」

「いえ、それが元々の仕事なのですけど」

「これからは山賊ではなく道路警備隊の一員になってほしい」


「はぁ?」

「だから君に仕事を与える事が出来るんだ。君次第で楽しい人生を送れるかが決まるのだぞ」

「ふーん、わるかねえな、いつも人から奪ってきた。次はそんな人を守るのも仕事としていいのだろう、かったぜ兄貴」


【兄貴いいいいいい】


 21名の配下が出来ました。


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