第51話 エクスバン国家再び
元山賊21名とドルゴンにフェイブマックスXに乗った僕たちは魔法の木材で作られた道をただただ突き進んだ。これだけの量の工事をバラドリ混在王国の人々は建造してくれたのだ。
バラドリ混在国家の人々の懐に利益が生まれる事を、僕は祈っている。
ひたすらの行軍に山賊達は歌を歌いだした。
しかも山賊の歌というとんでもない物だったが、ドルゴンも一緒に歌って、みんなで盛り上がった。
ひたすらの行軍だったが、数時間程でエクスバン国家にたどり着いた。
エクスバン国家には1人の少女が電信柱のようにひたすら立ち尽くしていた。
その子はメイル姫だった。
メイル姫はこちらに走ってくると、
いきなり僕に抱き着いた。
「心配したのだぞ、そなたが死ぬのではないかと、気が気ではなかった」
「心配かけた。ちゃんと治療も済んだし、へんてこりんな力も手に入れたしね」
「それはよかった。それでそこの彼らは?」
現在僕はエクスバン国家の城門にいる。その城門は大きな口のようでいて、
タートルゴーレムの口そのものであった。
エクスバン国家とは巨大なタートルゴーレムの体の中にある国家の事を言う。
「まぁ歩きながらで」
「了解した」
その両隣にはベピィーとリフィーがいた。
「相変わらずベピィーは髭もじゃで、リフィーは髪もじゃだな」
「それがわしたちの役目」
「ではないとおもうのだがね」
2人の屈強なドワーフ戦士が答えると。
「彼らは山賊だったんだけど」
その瞬間近くにいた衛兵達までもが武器を構えてしまい、
ちょっとしたパニックになる。
さすがに山賊もこんなタートルゴーレムのドワーフ本拠地で問題は起こそうとは思っていないようだ。
「みんな落ち着いて彼らは廃業した」
すると衛兵たちは武器をしまってくれる。
「山賊をどうするつもりなの?」
メイル姫が尋ねてくれる。
今日のメイル姫は宝石のようなものを体中に付けている。
それがドワーフ姫としての役目なのだろう。
「彼らを統率して、ドラゴンスレイヤーさんにはエクスバン国家からバラドリ混在王国の警備隊になってもらいたいんだ。もちろん道のね」
「そう、あなたが決める事なら大丈夫」
「信じてくれて嬉しいよ」
「それで今日来たのはそれだけが目的じゃないでしょ?」
「その通り、できれば書類などを準備して欲しいんだ全部で21枚分」
「そこには何を書くの?」
「僕が書くさ、後、山賊の問題が片付いたら国王に面会したい。僕の村との交易、そしてバラドリ国家との交易、またはセルフィール国家との交易」
「了解したわ」
それから2,3分まち、会議室をお借りした。
山賊たち21名が全員座れる椅子だったが、
少しだけ小さかった。
それはドワーフ専用なのだから仕方がない。
「みなさん集まりましたね」
全員が頷く。
「契約をします。僕が書いた書類を見てください、あなた達に理解できない言葉ではなないはずです」
そう僕の文字と言葉は相手に理解できるようになる。
それが相手が文字を理解していなくても、
言葉を簡単にしか理解できなくとも。
「おお、俺は文字を理解できなけど、この文字なら」
「理解できるぞおおおお」
「すげーえーえ俺は博士になれるかなぁああ」
全員がもくもくと、または大騒ぎをして、頷く。
「全員文句ねーぜ」
「それはよかったです」
その書類には3つの約束があった。
1 道路を利用している人を守る事、敵が強すぎる場合はなるべく一緒に逃げる事
2 山賊行為、または犯罪行為を行ったものは、罰を与えられる。その罰はヒロスケが決める
3 この仕事を退職したい場合は申し出る事、あと給金は頑張れば、1か月お酒飲みたい放題出来る事。
どうやらお酒飲みたい放題が大きかったようで、彼らは満足してにやりと笑っている。
「ではいつも通りドラゴンスレイヤー殿が率いて、どこへなりとも行ってください、給金を貰いに来るときは、この村に来てください」
「この村って滅びかけてたよな」
「はい僕が立ち直らせました」
「それは凄いな、さすがは俺を倒しただけある」
「君は雑魚でしたが」
「それはひどい、これでもドラゴンを殺したことのあるドラゴンスレイヤーなのだぞ」
ちなみに、ドルゴンはドワーフの城の中に入る事が出来なかったので、馬屋に預けている。
馬たちと仲良くなれそうだと元気満タンであったが。
「では兄貴、また合いましょう」
【兄貴】
なぜか皆さんに握手を求められて、1人また1人と会議室からいなくなる。
そのあと僕はメイル姫の案内のもと、国王の間へと到達していた。
「久しぶりだな」
「そんなに時間はかかっていないと思いますが」
「此度は何用で参った」
「交易です」
「それなら交易の参考となるようなものを指しあげたが?」
「これが交易書です」
王様はそれを見る。
「ふむ、定期的にそなたの村から特殊宝石と湿布薬を持ってくる変わりに、わしらはオリハルコンと何かしらの宝石が欲しいと」
ドワーフ国王は腕を組んで、
宝石だらけの玉座に座っている。
僕はびくりと生唾を飲み込む、隣にいるメイル姫も真剣なまなざしで王様を見ている。
「よろしい、特殊宝石と湿布薬はどうしても必要な素材、オリハルコンもその時の採掘量で決めてもよいか? 何かしらの宝石なら腐るほどあるのでな」
「助かります。それとドラロボの建設具合はどうですか?」
「おお、聞いて驚け10機もできた。約束の2倍は出来たし、パイロットも選出してある。今リーダーを呼んでいる少しまて」
「了解しました」
執事らしき人が慌てていなくなると、しばらくしてそこに現れたのはボロボロの衣服を着用しており、左目に眼体をつけているドワーフだった。
「国王様お呼びですか」
「うむ、いい加減その衣服をなんとかせぬか」
「そう申しましても、家には誰もおらず、忙しくて毎日毎日機械の点検ですので」
「そうか、トンボ、彼が機械騎士団が団長トンボじゃ」
「お初にお目にかかります。わしがトンボという物です」
「本当に動くのですね?」
「それはもちろん、このわしの手足となりて動きます。ただし燃料となる水が沢山必要ですが」
「み、水で動くんですか?」
「それはもう」
ドワーフ王がこほんと咳払いすると。
「では団長トンボよ今からヒロスケ殿の配下になる事を命ずる」
「はいいいいいいい」
「御意に」
「ええええええええええ」
「そこまで驚かなくても姫様」
僕とメイル姫は仰天していた。
そして国王はしてやったりという顔をしている。
つまりそういうことでドワーフ王国のお目付け役として僕の監視を。
そして護衛をさせるという一石二鳥と言う所だろうか。
「トンボ叔父様がいてくれればヒロスケも安心ね」
「叔父様?」
「うん、わたくしに剣術の使い方を教えてくださいましたわ」
「それはすごい」
「ということはエクスバン国家から村と村からセルフィール国家までの建設を手伝って貰っていいのですね」
「当たり前じゃろう、そなたの配下じゃ」
「ありがとうございます。では僕は早くドラロボを見たいので」
「はは、そなたも少年の心を持っているようだな。こっちにこい」
そういって後ろの暖炉が隠し通路になっていたらしく、そこから皆で階段を下りる事となった。
そこに到着した時、僕は唖然と見ていた。
アニメ、または、映画でしか見た事のないドラロボが本物で目の前に立っていたのだから。
国王が表れる事により10名の騎士団員たちが集まる。
騎士団員の手前にはトンボ団長が腕を組んで立っている。
ドワーフたちは誰もが少年だった。
まだまだ自由な年齢のようだが。
どれもが決まった制服を着用している。
「彼が新しい主人だ覚えておけ」
【はい】
「主人の名前は?」
【ヒロスケ殿でありあす】
「よろしい、主人から一言」
「え、えと、皆さんはこれから僕の家族のようになります、どうか命をないがしろにしないでください、死にそうなときは逃げる事、それは恥ずべき事ではありません」
ドワーフ少年兵たちは、きりっとこちらを見ていた。
「解散」
トンボ団長が叫ぶ。
「この機械すごいだろう」
「はい」
僕はこの世界にとんでもないプラモデルの設計図を持ってきたのだろうと、
嬉しくなり、わくわくしてきた。
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