第42話 バラドリの秘境
なぜバラドリ混在王国と呼ばれるのか、
僕はその謎に触れていた。
本当に色々な自然環境があるのだ。
遥か向こうには火山地帯が広がっている。
沢山のマグマがひっきりなしに溢れている。
離れてみても巨大な生命体が沢山存在している事が分かる。
マグマの山の向こうにトロール達が居るとされている。
そして巨大な崖がマグマを落下させる。
崖の手前には巨大樹たちが生えている。
高さで言う所の日本のスカイツリー並みの木々たちだ。
無数に生えているのに、ここが洞窟であり、そして高いポイントなのだとわかる。
洞窟の出口が高い場所でなくては、マグマの山もそして沢山の木々に隠されて見えなかっただろう。
それだけではない、カラフルな川がこちらの山、つまりエルフ王国とかドワーフ王国の方の山から下りている。
どうやらこちらの山の天辺に水資源があり、様々な色をしているようだ。
「あれのカラフルな水は味が違うのか?」
「そういうわけではない普通の水だ。ただ成分が違うだけらしい、詳しい事は分からない、昔錬金術師が研究していた。そいつは、どこかに行ってしまったわ」
メイル姫が教えてくれる。
その錬金術師と会って話をして見たかった。
川はマグマが落下していく崖の反対の崖に落ちている。
そこには沢山の階段があった。
「あそこが魚人たちの住処だ」
「なるほど、水の中ということだな」
「そうだな」
メイル姫がうんうんと教えてくれる。
「ここから先の道は荒れる。そのバイクとやらの運転は気を付けたほうがいい、サイノスターはここの出身のモンスターだから迷う事はないだろう」
メイル姫が断言する。
なるほどこのサイのようなモンスターはここ出身だったのか。
「空から偵察する。何かやってきたら報告するぞ」
「ドルゴンすまない」
「マカ姫、メイル姫、僕をバラドリの国へ案内してくれ」
「もちろんよ」
「その為に来たのだから、まぁ、ヒロスケ殿と一緒にいたかったのが本音だわ」
「ん、なんだ?」
「冗談よ」
ドワーフのメイル姫は、小さな体をくねくねしながら、戸惑っていたが気にせず。
マカ姫は長大な剣を腰に佩いており、腰に手をあてている。
どのようなモンスターが出てもいいようにしてくれているのだろう、
サイノスターは僕が苦闘しながら操縦しているのを待ってくれている。
一応正式な道ではないのだろうけど、ある程度の道は出来ている。
巨大樹を縫うように進みながら途中でぼこぼこしている所に苦闘した。
空ではドルゴンが様子を見ながら、地上ではサイノスターがその巨躯を表し小さめのモンスター達を威嚇している。
一際大きな巨大樹が2本あった。
まるで城門のようで、
その向こうにはまだまだ巨大樹があるのだが。
マカ姫がとんでもないことを呟くのだ。
「バラドリ混在王国へようこそ」
「え? でもそこには」
「いったろ、エルフが言うのだぞ? ありえないがありえるんだよ」
ドルゴンは僕の隣に着地すると。
ドラゴンの瞳には向こうに何かが見えている。
「やはりドラゴンには幻術魔法は効かないみたいだな」
「そのようだね」
ドルゴンは口の端を釣り上げると、
みんなが門の向こうに吸い込まれるようにいなくなった。
僕は唖然と口を開いて異世界に行く扉があるなら、
異世界からどこかへつながる扉があっても可笑しくない。
バイクをかき鳴らして、まっすぐに後ろの荷台が崩れないように直行した。
次の瞬間、僕は信じられない光景を見ていた。
後ろを振り返っても、巨大な2本の巨大樹が門のようにあるだけ、
その向こうは蜃気楼のようにゆがんでおり。
「ようこそ、バラドリ混在王国へ、ここは蜃気楼の王国、次元の狭間にあるとされる王国よ」
マカ姫が手を差し出してくれる。
僕は仰天してバイクから落ちていた。
マカ姫がかがんでくるものだから、服の中にしまわれた大きな胸が見えたわけで。
僕が顔を真っ赤にすると。
「え、えっちいいいいいいいいいい」
マカ姫のグーのパンチで僕は遥か彼方に吹き飛ばされました。
僕は盛大にぶん殴られて、メイル姫が介抱してくれた。
マカ姫は怒りを通り越して、落ち込んでいる。
なるほどマカ姫の妹である王女様はこれを器具していたのだろう。
周りからの視線も痛いけど不思議とああ、そういう人もいるで人々は通りすがる。
人々といっても人間は一人もおらず。
全身毛むくじゃらの狼人間そのものがいっぱい歩いているし、
空には蝙蝠の大群が飛んでいるが、
蝙蝠の大群を絨毯のようにヴァンパイア達が移動している。
川で釣りをしているのは、魚人族だったし。
他にも見た事のない種族がいた。
エルフ族もドワーフ族も色々いた。
中には鬼のような鬼族や、獣人たちまでいた。
獣人たちは色々な動物と掛け合わされたような姿をしていた。
みんなみんなを尊重しあっているようだ。
「さて3人の族長はいつもあの建物の中でボードゲームをしているのだよ」
「え?」
僕は唖然としてしまう、
ちなみにこちらに来て暇だったらと、将棋と囲碁とリバーシを持ってきている。
リバーシとはいわゆるオセロみたいなやつ、いやオセロか?
「そのボードゲームでは何をやっているんだ?」
「なんかよく分からないけど、トランプと融合させたやつらしい、あの3人が勝手に作ったものらしいわ」
「へぇ」
僕は心の底から歓喜していた。
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