第31話 城壁作ります
プラントモンスターの死体を運ぶのはいいが、巨大化したプラントモンスターの大きさは、現実世界のビルの4階建てに相当する。
太さも一般的なビルと同じくらい、太巻きですが? とかは通用しません。
村人達がその場で解体処理を行い、城壁としてのパーツとして使えるようにしていく。
その先頭指揮を執ったのがネッティーさんだった。
ネッティーさんは農業関係のリーダーだと思っていたら、実は木こりの経験もあったので助かった。
まぁ木々も農業と言えばそうかもしれない。
僕とネンネは村長宅にいち早く戻っていた。
そこで地図を広げている。
その大きな画用紙は、現実世界から持ち込んできた。
画用紙には簡単に村の地図を描かせてもらった。
「ヒロスケ殿は絵の才能もあるのですね」
「いえ、単なる設計図を描くのが好きで、一時期は建設業界に入ろうと資格を取ろうとがんばっていました」
「その建設業界とか、資格とかはよくわかりませんが凄そうですね」
「まぁ挫折しましたが」
「挫折の意味はわかりますわよ」
ネンネと会話しながら、どのように城壁を作るかの意見を出し合う、なぜか隣にはウィルソンとディボンドがいた。
ラングンも来たがっていたが、ネッティーに連れていかれた。元気でなと僕なりに突っ込んでおいた。
「うーむ俺様的に巨大な城に大きな洞窟が欲しい」
「おいらは、沢山の倉庫」
「君達は少し黙っていたまえ、決めるのは村長だ」
「な、ならお花畑が欲しい」
そこにいた全員にある程度の説教と、もしそのような事をして村が壊滅したら誰が責任取るかという事で言い負かすとそこにはネンネ、ウィルソン、ディボンドの成れの果てが転がっていた。
「まずは四方を囲む必要があります。城門を作る必要もあります。この城門の出口によっては色々と戦略的な意味が変わっています。例えば王国側に向けると、簡単に戦争になります。王国の反対だと、王国側の城壁を固める必要があります。一方で右と左なら、いっそのこと2個にして、流通をよくしたりできますし、王国側なら交易も手間とりませんね」
「ふわああああ、ねむてー」
「ちょっとウィルソン君、お仕置きが必要なようだな」
「や、やまてくれ、もうあの言葉地獄は、ならさ、櫓とか必要ねーの? もし王国または山賊とかが襲ってきたら矢で迎撃したいだろ? 門を開ける必要がねーんだからさ」
「それは良い案ですね」
「だろ?」
「あとおいらは食糧庫を1つだけにしないほうがいいと思うんだ。もう飢えで苦しむのは嫌なんだ」
「それも良き案ですね」
「お花畑」
「村長は少し黙っていてください」
僕は顎をひねって考える。
食糧庫は4つくらい必要だろう、だがすぐに分かる所ならまずいだろうし。
「食糧庫は地下と逆に櫓に設置します。あとの2つはごく普通に建物に設置します」
「地下なんて作れる技術があるとは思えねーぞ」
「ウィルソン、僕は相当なバカに見えますか?」
「見えないけどさ」
「ウィルソン、そのためにはドワーフ族を最低でも10人雇うのです」
「なぜ、そこでドワーフが出るんだよ」
「僕とてバカではありません、この村はディン王国のはずれの山奥にあるそうですね、しかもここは草原と森があり、山が隠れています。山の向こうにはトロ―ルの領域があり、その狭間の山にはトロールの侵略に怯えるドワーフと、その麓にはエルフがいると、そのほかにも多種多様な種族が住んでいると」
ネンネは頷く、そしてはっとなる。
そこにはいつの間にかふぁああと欠伸をするドラゴンのドルゴンがいた。
ドルゴンはこちらを見てにやりと笑う。
今の僕の知識はネンネさんからもたらされた部分もあるけど、イメージとして伝えてくれたドルゴンの存在も大きい、魔人となり、巨大プラントと戦っている時イメージが伝わってきた。
そこを見ると、欠伸をするドルゴンがいたのだ。
エルフとはどういうもので、
ドワーフとはどういうもので、
トロールとはどういうもので、
その他の種族がどういうもので、
このドルゴンというエメラルドのドラゴンは普通のドラゴンではないようなのだ。
まぁ、普通のドラゴンを知らない僕が言える事ではないのだが。
「僕の構想ではドワーフ王国とエルフ王国で交易して、同盟関係を作ろうと思っています」
「はん、普通の村で、国でさえないのに、振り向いてもらえるものなのか?」
「そのために僕は異世界から資源を持ってくるのですよ」
「そ、そうか、ヒロスケ殿にはそれがあった」
ネンネが納得という顔でうなずいている。
「なので、僕はドワーフ王国に向かいます。護衛入りませんので」
「ちょ、あなたが死んでしまったらこの村の未来が」
「僕を信用してください、僕もそれなりの兵器をもっていくつもりです」
「す、すげぇえ、その兵器見てみたい」
「なので今日はこれくらいで、退散しますが、ネンネはみんなにこの構図を説明してあげてください」
「了解しました」
「あと僕は一度現実に戻ります。そのあとまっすぐにドワーフ王国とエルフ王国に向かいます。この画用紙ではなくて、世界地図みたいなものをもらってもよいですか?」
「あ、はい構いません。その地図はあまり使う人はいないので」
「あと、僕が指示したとおりに城壁を建造してください、城門は反対の方角、山に向いているほうに」
「ということは、交易が前提と」
「そういうことです」
後ろにネンネたちの気配を感じながら。
自分の世界に戻るために、
村長宅から出ると、フェイブマックスXに乗った。
するといつの間にかドルゴンが右肩に乗っていた。
「お前も来るか?」
「ぐるぐる」
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