第30話 巨大プラントモンスターをぶっ倒せ
緑色の風が吹いてくる。
それは木の葉一枚一枚が舞い散る景色を描写した時だった。
木の葉一枚一枚は茶色くなくて、全然緑色の木の葉だった。
なぜこんなに木の葉がこちらに向いてくるのか、風上がプラントモンスター(巨大)から来ているからだ。
なのでどすんどすんとモンスターらしく巨大な化け物はこちらに向かってくる。
「僕は怪獣映画でも見ているのだろうか」
先程まで、村人10名は乾燥機を設置しにいなくなっていた。
一方で20名の村人で雑草に現実世界の肥料をまく事で、プラントモンスターを出現させて、倒し、素材を勝ち取り、最強な城壁を作るつもりでいた。
しかし甘くなかった。
僕は人生そのものと自然そのものを舐めていたのだ。
微量の肥料でさえ雑草をプラントモンスターにしてしまうのに僕は直で雑草に肥料を上げた。
その結果、雑草は進化し木々になる。木々は進化をし、歩くようになる。
「もはやバケモンだろうが、しかーし、我らにはヒロスケ殿がいる。そしてヒロスケ殿が考えやすいように時間を稼ぐのが我らの役目、さぁ、うちにつづけえええええ」
この恐怖の状況を一変さえたのは、1人の農業関係のリーダーとされるネッティーさんであった。
彼女はぴっちぴちのズボンを穿いている。
さすがに農作業でスカートはまずいと、僕なりに思っていたのだが、ネッティーさんのスカート姿など想像したくもなかった。
冷たい風が頬をなぶりながら、30名の村人達は、いつの間にか草刈り機を作動させていた。
確か持ってきている草刈り機の数は20個だ。
20人の村人たちが草刈り機をぶぃいいいんと音を鳴らしながら走っている姿は狂気そのものだ。
もし僕が図書館の帰り道とかで、後ろから草刈り機を振り回している人がいたら普通に逃げるし、まぁ絶叫をあげて逃げますとも。
残った10名の村人達は、どうすんの?
という表情をしている。
どこから草刈り機を持ってきた。
そもそもどこにしまったのだ。
僕はとほほとなりつつも。
10名の村人達が戻ってきたのだ。
「ネンネ村長とヒロスケ殿をお守りいたす」
「いえいりません」
「えええええええ」
突然の拒否に村人達は唖然と口をぱくぱくしている。
僕は右腕をこきこきとする。
この乱戦の中伸び縮みするダイヤモンドの剣を使う訳にはいかない、間違ったら仲間に当たる可能性もある。
あと草花のローブも使う訳にはいかない。
頑丈で鋭い種を飛ばして、もしも仲間に当たったら立ち直れない。
「ふ、右腕を開封する時が来た」
「おおお、ヒロスケ殿がやる気になったぞ」
「ま、待つんだ。ヒロスケ殿はとても大事な方。巨大プラントに近づかせるな」
「まってください、ヒロスケどのおお、引きずらないでくださいいい」
「それはこっちのセリフだああああ」
村人達10人の列は僕の背中にしがみついて、離れない貧乏神状態になっている。
「おもてええええ」
それでも歩く僕に感動しているのか面白くて笑っているのかネンネが顔を隠している。
涎が垂れている所を見ると。
「おめーはいつまで笑ってる」
「くはっははははだって面白いんだもの」
「僕は遊んでいる訳ではない」
「そんなの分かっていますとも、村人としてフォローさせてください」
「だから、この魔人の手で」
「妄想はやめましょう、どこからどう見ても普通の手ですよ」
「だからああああああああああああああ」
僕の断末摩がこの空間に木霊したのであった。
10人の村人達が吹き飛ばされる。
まるで人形のように後ろに飛ばされた村人達は唖然としてこちらを見ていた。
僕の周りにはシールドのようなカプセルのような膜ができている。
発生源は魔人の右腕だった。
右腕の先っぽから出てきている膜は、僕の体を守っているようなのだ。
一歩突き進む。
これはチートアクションではない、普通に魔人の右腕を持ってしまった。チートな話なのだから。結局そうなるわな。
ふははっははは、僕は意味不明に自分で笑っていると。
頭の中に映像が叩き込まれたようなものを感じた。
一体何者だろうかと辺りをうかがうと、ドルゴンがこちらを見て、瞳を怪しく光らせていた。
「お前なのか? この情報は」
突然の情報に戸惑いながら、僕はにやりと笑って見せた。
それ以前になぜ今の状況で!?
頭を切り替えた。
20名の草刈り機部隊が次から次へとプラントモンスター(巨大)をばったばったと倒していく。しかし残念なことに株分け原理で、また増えるだけ、
現在プラントモンスターは15体から25体に増殖しており、
地面に肥料があるものだから、どんどんとでかくなっていく。
「つーかどれだけ、僕の世界の肥料とこちらの世界の魔力を合わせると危険な肥料になるんだよ」
僕の心の中のツッコミは誰もそうだねとは頷いてはくれないのであった。
地面を走る。正確には肥料がまかれた雑草地帯を走る。
なぜだろう右腕だけが魔人になっているのに、まるで体全部が魔人そのものになってしまったかのような錯覚を覚えている。
そもそも魔人と名付けたのだって、思いつきだし、この世界の本来の力の魔人とは違っている可能性が大有りなのだ。
ということは、これは魔人というくくりではいけないのかもしれない。
「これからは科学の右腕と呼ぼう」
勝手に僕は名前を変更させていた。
「さぁ科学パンチでもくらえええええ」
地面を踏ん張って、空に向かって跳躍する。
なんか知らないけど。
「ここ雲の上だよおおお、どこまで跳躍してんだよおおお」
雲が顔中に綿あめのようにへばりつく、それが水滴のようになると、以外と美味しい天然の雲水、交易に使えるかな?
原理的に無理だな。
今落下しております。
風が地面から吹き上げる。
これスカート女子だったら、スカートめくれて、パンツ丸出しじゃね?
おっといかんいかん、そのような事を考えている場合ではない、地面が見えてきた。
あの跳躍力だと、着地力も半端じゃないだろうけど、大丈夫さ。
なぜかプラントモンスターは村人を追い詰めていることに夢中で、密集していることに気づいていない。
一体はスーパーマンキックでなんとかなるだろう。
「くらえええ、スーパーマンきいいいいいっく」
厳密には一体にも命中することはなく、1人で勝手に滑り降りた感じだ。
地面に激突したとき、衝撃破となり、プラントモンスター(巨大)に衝撃波で吹き飛ばす。
ほぼ天災のそれは、地面にまで振動をもたらす。
プラントモンスター(巨大)の根っこを崩壊させる。
一番よかったのはプラントモンスター以外の植物は、いなかったこと、あるとしたら雑草程度、雑草ならまた復活するだろう。
その衝撃破がすべての化け物達を撃破、
プラントモンスター(巨大)は現在では50体にまでなっている。
草刈り機部隊の育成も考える必要があると、
この時の僕は思った。
1人また1人と立ち上がる村人たち。
彼等はプラントモンスターと一緒に僕を村に運び入れてくれた。
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