第29話 肥料捲いて、プラントモンスター倒して、城壁作ろう
「では皆さんよーく話を聞いてください」
20名の村人たちは、
どんな話が聞けるのかとわくわくどきどきしているだろう。
僕はにやりと笑う。
これからやることはいたってシンプル。
「肥料を雑草の所にまいてください、プラントモンスターが出現したら、片っ端から倒し、そのプラントモンスターの死体であるレア素材を集めてください、それでこの村を守る城壁を作ります」
「おおおおおお、それが本当なら俺様達の世界はもっと広がる。みんなの命を脅かす山賊や税金泥棒達に一発おみまいできるぞ」
「てめーはガキなのに汚いセリフをしゃべってんじゃねーよ」
ラングンの当たり前な突っ込みにウィルソンは首をふむとうなずく。
「なにか?」
「村長こいつの事は放っておいてください」
「了解したラングン、肥料の数はもはや数えきれない程持ってきた」
「数えろや!」
「そこ、罵倒禁止」
「はいはい」
そいつは確かリンゴーンという糞爺だった気がする。
ネッティーがラングンと周りに指示を飛ばしている。
ディボンドはひとりで3個くらいの肥料を持ち上げて歩き出した。
「場所はどこでもいい出来るだけ近くの雑草地帯、つまり草原地帯で肥料をぶちまけてくれ」
「よっしゃああああ、やるぞ野郎ども」
ネッティーさんが姉御らしくまとめると、僕はぽつんと取り残されてしまったのであった。
肥料を持ち上げようとすると、
村人達は僕に持たせる訳にはいかないと、断固拒否して僕から仕事を奪っていくのであった。
それから1時間が経過した。
隣にはネンネがいる。
彼女はにこにこしながら、僕の事を褒めてくれるとても暖かい女性だった。
「ヒロスケ殿は、この村をどうしたいのですか?」
「そうだな、強大で弱点のない村にしたい、それを広げていき、自由な村という世界を作りたいんだ」
「そっかーそれはいつの日かディン王国と和平を結ぶ必要があるわね」
「そのディン王国にこの村は属しているのか?」
「わたしが村長じゃない時は、時たま村に監査の人がやってきて、ある程度の作物などを持っていくわ」
「なるほどなぁ、それではフェアじゃないな」
「どういうこと?」
「つまりこの村はディン王国に属しなくても問題なかったら、貢物を上げる必要はない、同じ立場として交易、または戦争するのが妥当だ」
「戦争は嫌だなぁ」
「安心しろ僕が最先端の武器を持ってきてやる。あの草刈り機だけでも相当な数の敵を殺せるぞ」
「は、はは、それ笑えない」
実は僕の頭の中ではこの村自体を戦略的に最高にさせる方法がある。
まさか現実世界から拳銃を持って来る訳にもいかず、なのでモデルガンとかを大量につくって、こちらに持ってきたらどうなるのだろうか?
現実世界でナイフや包丁を持ってきたら?
防弾チョッキだって持ってきたら?
「ぐへへっへ」
この世界と現実の世界では魔力の空気などで2つの空気を感じてきた物たちは、新しい場所に到達するととんでもない事になるのだ。
それはさておいて今はやるべき事だ。
20名の村人達が戻ってきた。
乾燥機を設置しに行った村人達も帰還する事となったので30名の村人達が集った。
ウィルソン、ラングン、リンゴーン、ネッティー、ディボンドが集まると、皆は肩で息をしている。
結構重たかったのだろう、同じ場所を行ったり来たりするのも大変だっただろう。
ネンネは村人全員にミカンジュースを配る事に、ちなみにリンゴ、ミカン、葡萄、柿などなど、沢山の果物の木を育てる事にも成功していた。
一応ネッティーさん達には、数か月は成長にかかると説明したのだが、ありえない肥料と、ありえない土の成分のお陰で、その果物の木々達は、3日たらずで成熟してしまったのであった。
さすがは作物を即座に実らせるだけの土の成分だと衝撃を受けていた。
「では皆さん、果物ジュースを飲みまくって回復してください」
その時、村人達の歓声が響き渡る。
「おいらこんなに甘いジュースを飲んだのは初めてだ」
「う、うちの甘党としての味覚がびんびんに反応しているわ」
「姐さん、俺うますぎるっす」
「そうだな、うめーよな、俺様感激」
「ウイルソンは黙ってろ」
「てめ、ラングンこそその酸っぱそうな口を閉じろ」
「わりーかよこれが俺の口だ」
「なら俺様だってそんな口にしてやるぜ」
「レディーの間でなにやってんじゃあああ」
「「あ、あねごおおおお」」
なんか意味不明な会話のやり取りを僕は見ていて、なんて平和なのだろうと思ってしまった。
ネンネは微笑みながらその光景を見ていた。
するとそれはまるで風の用に起きた。
土の臭いが変わったと、すぐに僕は理解した。
僕はプラントモンスターを舐めていた。
考えてみれば、この前は雑草に当たった肥料などごく微量、
今回は雑草に向けて、直に肥料を当てている。
ということはプラントモンスターの成長はあの時よりも。
そこには巨大な木々がうごめいている。
木々から雑草が生えていたり、色々な果物が出たり、
ぐちゃぐちゃになりながら、
巨大なプラントが15体ほど出現していた。
「あ、は、はは、終わった」
僕は終わりを悟った。
その時、彼等が立ち上がったんだ。
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