第24話 特産物は何も食べ物でなくても

 ネンネと僕で特産物が何かいいかを考えていた。

 彼女には交易商人の本部のような大きな建物を作るようにと頼んでおいた。

 すると彼女は嬉しそうに頷いてくれた。


「プラントの死体がまだ残っているので頑丈な建物が造れると思います。まだまだプラントの死体がありますから、村の建物の改修工事とかもしたいですし、大工さんはこの村にはいないけど、村人達で建設出来る技術はありますから、それにいざというときは大工さんを雇いますし、スライムの素も使えば頑丈な壁にもなりますしね」


 ネンネが詳しく解説してくれると僕としてはほっと一安心をつける。

 交易商人のテクスチャさんはこの村を観察してくると言ってこの場からいなくなっている。

 現在僕とネンネは2人きりで村長宅の座布団に座っている。


「何も食べ物でなくてもいい気はするのですけどねぇ」

「特産品は食べ物というイメージがありましたが」

「ヒロスケ殿の世界では特産品はどのような物なんですか?」

「大抵は食べ物が多いです。お菓子とか後は饅頭とか? 中にはアクセサリーのようなものもあったりペンだったり」

「そうですねぇ、最近の村事情を考えると、人々は可愛いものに飢えているのです。どんな時も恐ろしいモンスターに襲われないかとびくびくしたり、その時にマスコットのようなものがあれば」

「そうですねぇ、マスコットですかぁぁ、一度現実世界に戻ってみます。では」

「あまり無理しないでください」


――――――――――――――――

村(異世界)→巨大倉庫(現実世界)

――――――――――――――――


「おう兄貴」

 

 そこにはカウンターで大人の本を見ていた林介がいた。

 彼はこちらに気づくと、にやりと笑って見せる。


「ほれこれ、報酬額だ。カードに入ってる」


 その領収書を見てみると、


「林介0の数が可笑しいぞ」

「おかしかねーよそれで10億だ」

「ぶううううううう」


 思わず鼻血を噴射してしまった。

 興奮度がマックスになったのだ。


「じゅじゅじゅじゅじゅじゅ」

「じゅじゅうるせーんだよ兄貴、それでも俺と半分にして兄貴のほうが貰ってるんだぞ」

「こんな大金どうすのおおおおお」

「んなもんしるかよ、もはや母さんを楽にさせるを超えちまったぞ」

「こ、こ、こ」

「兄貴はニワトリか」


「こんな金どうすんのおおおおお」

「だからんなもん知るかよ、もう俺達のやっている事は国を巻き込んで、この人類という文明が存続できるかにかかってるんだぞ」

「あははっははっは」

「壊れるな兄貴、今宇宙移民計画が始動された。プラントの死体とスライムの元だけで、宇宙に居住区が造れるという仮説ができた」

「嘘でしょおおおおおおお」


「盾と剣の組織のメンバーである俺は世界各地の紛争を押さえるために、パワードスーツの計画に巻き込まれているどうすんのおおおおおお」

「お前がどうすんのおおおおおおおおおお」


 その場がパニックに包まれていた。

 落ち着くのに1時間が必要だった。


 2人は意気消沈しながら。


「でだ。ここまで来たからには天辺とるぞ」

「はいいいいいいい」


「だから兄貴の異世界でありとあらゆる素材または道具何たらを集めてこい、それを俺が売りさばいて売りさばきまくるぜ」

「そして世界はどんどん文明が発展していく」

「そして兄貴の大事な村が発展していく」


「明らかに地球と村では規模違うぞ弟よ」

「ふ、確かに」


「何格好つけてんのおおお」

「そうだ。この前の研究結果が出たぞ、きっとほっとするぞ」

「おう、なんだ」


「コウモリムラサキの翼を調べた結果、反物質が見つかった」

「ちょえええええええええええええええええええええええええええええ」

「コウモリムラサキの翼は現在厳重に保管されている。ある研究者はテレポートマシンができるのではと狂ってる」

「は、笑いたくなるよ」


「ボアの牙は粉々にして成分を調べた結果。超絶麻酔の効果が得られた。つまり痛みをなくしつつも普通に暮らせるということだ。モルヒネのような副作用はまったくなく、全身から痛みがなくなり暮らす事が出来るので手術中に読書なんて可能だ」

「なぜ手術中に読書する必要があるんだよ」

「知らん、金持ちに聞いてくれ」


「でだ。最後の綺麗な水だが、一口飲んだだけで、マウスウォッシュなどの効果の1000倍は見られた。これをお店に出すと、マウスウォッシュの会社が潰れる恐れがあり、世界の経済バランスがおかしくなるので、総理大臣の命令で綺麗な水の情報はコードXとされた」

「どこの世界に綺麗な水をコードXにするかな、まるで戦争の暗号みたいじゃないか」

「それだけ危険だということだ。宇宙計画では綺麗な水を使って清潔にする方法案がでている。兄貴がやる事は異世界からありとあらゆる素材を持って来ることだ。その為に国から支給がきた」


「まじか」


 僕は唖然としていた。


「フェイブマックスXだ」


 巨大倉庫のシャッターが自動で開くと、そこから入ってきたのは、バイクだった。

 バイクの後ろには鎖と鎖を連結させて引っ張る入れ物があった。

 全部で10個まであり、すべてを連結させると細長いバイクの馬車のようになる。


「これでかくだんにこちらに運びやすくなるぞ」

「それは助かる」


「で、何か悩みがあったんだろ」

「それを聞いてほしい、特産品は食べ物の必要がないなら、林介ならどのような物が欲しい? もし自分が異世界人で現実世界の物が欲しいとしたら」


「うーむ」



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