ルナのお誘い

 アクアリードがいるこの場所は、地上にあるワープポイントを探し出した者だけがたどり着ける。どうしても彼に依頼したい。その思いがなければ、繋がらない。

 見つかった時点で、ポイントを手に入れたも同じ事。何故ならば、仕事を成功させれば、必ず心から感謝するからである。


 「でも、さっきのでマイナスになっているかもよ?」


 ルナの言葉に、アクアリードは、フッと笑う。


 「問題ない。探し出した所で、感謝もされないからな」


 あの男にすれば、本物を持って来るのが当たり前。探し出した所で感謝などされない。

 それにアクアリードは、あれが偽物だろうとわかっていた。男に言ったように、鑑定する能力はない。だが、簡単に手に入った。偽物の可能性が高いが、知っちゃ事ではない。

 わざわざ探した所で相手に見つかるリスクが高い上に、報酬は変わらない。

 アクアリードは、自分に益にならない事はしない主義だ。つまり無料奉仕はしない。

 この世界では、珍しい考え方だ。


 「ホント、何であなたがそっちのギルドに居られるか不思議だわ」

 「百ポイントあるからだろう?」


 そういう意味で言っているのではない事はわかっているが、そう返す。


 「で、何の用だ?」

 「あら、それもわかってるくせに……」

 「たかりにきたのか?」

 「違うわよ。誘いに来たのよ」

 「前にも言ったが、善業ギルドがいいんだ」

 「うふふ。今回はお仕事よ」


 その言葉に、アクアリードはにやりとする。

 ルナの持って来る仕事とは、裏仕事でも悪の方だ。つまり普通ならマイナスになる仕事だが、アクアリードはいつも引き受けている。


 「ほ~んと不思議」

 「うるさい、行くぞ」

 「はーい」


 嬉しそうに返事を返すとルナは、魔法陣を展開する。

 ルナがそれに吸い込まれる様に行くとアクアリードもそれに続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る